あと何年生きられるか…「平均余命」から資産形成を考える
また「平均余命」、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値を見ていきましょう(関連記事:『【2021年】平均余命早見表…あと何年生きられるのか?』)。
仮にいま30歳だったら。男性はあと52.25歳、女性はあと58.20歳、生きることができます。
仮にいま40歳だったら、男性はあと42.57歳、女性はあと48.40歳、生きることができます。
仮にいま50歳だったら、男性はあと33.12歳、女性はあと38.78歳、生きることができます。
仮にいま60歳だったら、男性はあと24.21歳、女性はあと29.46歳、生きることができます。
あくまでも期待値ではありますが、平均余命もこの30年で大きく伸びたことは平均寿命と同様です。
このように寿命をいろいろな角度から見ていくと、「そんなに長生きなんてできるもんじゃない、なんて言っていられない」と、考えを改めた人もいるでしょう。実際、あと何年生きられるか、それに対していくら必要か、確実なことはいえません。そこで参考にしたいのが、「まわりはどれくらい貯蓄をしているのか」「高齢者はどれくらいお金を使っているか」ということです。
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年』によると、金融資産保有額から借入金額を引いた金額は、50歳代で平均368万円(中央値-200万円)、60代で1054万円(中央値377万円)。平均余命から、あと25年ほど生きられるとされる60代は「1000万円強の蓄えがある」というのが平均値。世間で論じられているよりも、純粋な資産は「少ない」印象です。
【金融資産保有額】
20代 平均値292万円/中央値135万円
30代 平均値591万円/中央値400万円
40代 平均値1012万円/中央値520万円
50代 平均値1684万円/中央値800万円
60代 平均値1745万円/中央値875万円
70代 平均値1786万円/中央値1000万円
【借入金額】
20代 平均値478万円/中央値200万円
30代 平均値2367万円/中央値2450万円
40代 平均値2058万円/中央値1700万円
50代 平均値1316万円/中央値1000万円
60代 平均値691万円/中央値498万円
70代 平均値1349万円/中央値500万円
出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年』
また総務省『家計調査家計収支編2020年』によると、世帯主65歳以上無職世帯(世帯人員2.37人、持ち家率93.1%)では毎月「実収入」が26万6056円あり、そのうち「公的年金」は20万3259円給付され、手残り(黒字)が2394円というのが平均値。なんとか赤字にならずにやっていけている、というのが実情です。
このような老後の生活に対して、いくらあれば安心か、なかなか答えを出すことはできません。ただ少子高齢化が進むなか、公的年金の給付額も減少していくといわれていますし、安心できる要素はない、というのが現実。現役世代は無理のない範囲で、コツコツと資産形成を進めていく、ということだけが、「老後の安心」につながるといえそうです。