日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「子どもの習い事や学習塾にかかる費用」に焦点を当てていきます。
会社員、年収減も「学習塾費用3割増」天井知らずの教育費にため息 ※画像はイメージです/PIXTA

増加する学習塾費用…1994年は平均14万円強だったが

学習塾費用は年々増加傾向にあります。中学校の学習塾費用はバブル崩壊後の1994年、14万5540円でしたが、2000年には16万2357円と、約2万円ほどアップ。そして2018年には20万2965円と、四半世紀あまりで3割増しといった状況です。

 

高校での学習塾費用は中学校のときほどではありませんが、1994年では7万4202円だったのが、2018年には10万6884円と、3万円ほど増加しています。

 

【中学校・高等学校「学習塾費用」の推移】

1994年度 14万5540円/7万4202円

1996年度 15万3817円/7万3154円

1998年度 14万7174円/6万5893円

2000年度 16万2357円/6万6181円

2002年度 16万1043円/7万3360円

2004年度 17万4776円/6万7995円

2006年度 17万6030円/7万9128円

2008年度 18万7691円/7万6278円

2010年度 18万2455円/7万7025円

2012年度 17万5222円/8万2011円

2014年度 20万4583円/9万5450円

2016年度 20万2498円/10万6767円

2018年度 20万2965円/10万6884円

 

出所:文部科学省『子供の学習費調査』(平成30年)より

※金額左:中学校での学習塾費用、右:高等学校での学習塾費用

 

国税庁『民間給与実態統計調査』によると、1994年の会社員の平均年収は455万5000円。対して2018年は440万7000円。単純計算すると、手取りは月額27万~28万円程度。

 

四半世紀あまりで、15万円ほど年収が下がっているにも関わらず、学習塾費用は6万円も増加しています。かわいい我が子の将来のためとはいえ、この支出増は家計には痛手です。

 

子どもの将来のために学習塾に通わせ、最終的には大学進学。これが最終ゴールと思いきや、お金はさらに出ていきます。

 

文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』『私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、大学の初年度納入金は、国立大学で81万7800円、私立大学文系で116万5300円、私立大学理系で154万900円、私立大学歯科で428万9200円、私立大学医系で504万3200円。 国立大学でいえば、初年度納入金のうち授業料は53万5800円ですから、これから数年、この程度の学費を毎年覚悟しないといけません。

 

さらに文部科学省『学校基本調査報告書』によると、大学から大学院等への進学率は2018年で9.3%。10人に1人という水準です。大学院離れが進んでいるといわれていますが、大学全入時代と呼ばれるいま、大学院卒でないと勝ち残れない世の中になり、大学院進学率は上昇するという見方も。

 

このとき、親として「いい大人なのだから、大学院進学に関しては自分で何とかしなさい!」といえるでしょうか。結局「……あと2年、わかった」とサポートすることになる人が大半でしょう。

 

天井知らずの教育費。「子どもの願いは叶えてあげたい」というのが親心。突然の出費にあたふたしないよう、日ごろから備えておきたいものです。