「給与が増えない」から「消費も増えない」の悪循環
「失われた20年」「失われた30年」というのは、言い過ぎではないことは、会社員の年収からも明らかですが、その間、あらゆるシーンで世界の国々と比べては、日本の没落が叫ばれてきました。
そこでひとつ、世界と日本の状況を知るデータを紹介しましょう。
「世界主要国の小売販売量の伸び率」に注目すると、2020年のトップは北欧のノルウェーで前年比8.28%増。全世界的に新型コロナウイルスの脅威にさらされたなか、前年比プラスを記録したのは、34ヵ国中、半数の17ヵ国。日本は28位で、前年比-3.28%。先進7ヵ国中、6番目、という結果でした。
【世界主要国「小売販売量伸び率」ベスト10】
1位 ノルウェー(8.28%)
2位 フィンランド(4.25%)
3位 ドイツ(4.23%)
4位 エストニア(3.51%)
5位 イスラエル(3.42%)
6位 ポーランド(3.20%)
7位 オランダ(2.92%)
8位 オーストラリア(2.75%)
9位 スウェーデン(2.59%)
10位 リトアニア(2.58%)
…
28位 日本(-3.28%)
出所:OECD
※(かっこ)内、国内小売販売額から物価変動分を除去した数量ベースでの対前年比
コロナ禍による対応はさまざまですが、そのなかでも日本は消費欲が冷え込んだ国だったといえそうです。
この小売販売量の伸び率の推移を見てみると、バブル景気でイケイケだった頃の1990年、日本は主要国中第4位で前年比5.12%記録。しかしバブルが弾けると、1992年には前年比-1.50%で主要国で17番目に転落します。1996年に主要国で21位になると、2009年まで20位を上回ることなく、下位常連国となりました。
2009年、2010年にはそれぞれ15位、13位と上昇しますが、日本は欧米諸国と比べてリーマンショックによる影響が少なかったことが影響しています。その後、再び日本は下位に低迷し、30位前後が定位置になっています。
小売販売量の伸び率から「給与が増えない」だから「物を買わない」の悪循環に陥っている日本の状況が見えてきました。「失われた30年」が40年、50年となっていくのか……日本は、正念場にいるといえるでしょう。
この先、給与が上がらないとすると、将来に備えて何ができるでしょうか。投資などで資産を増やしていく、転職や副業などで所得そのものを増やしていく……自分に合った方法で、行動を起こしていくしかなさそうです。