日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「会社員の年収の推移」に焦点を当てていきます。
会社員の平均年収436万円…30年、給料が上がらないという空しい事実

給与が増えない日本…1990年の水準まで逆戻り

国税庁『民間給与実態統計調査』によると、令和元年、2019年の会社員(給与所得者)の平均年収は436万円。前年比1.0%の減少となりました。減少を記録するのは、2012年に前年比99.8%を記録した以来のことでした。

 

そもそも日本では「失われた20年」とか「失われた30年」などといわれるように、長い間、経済は低迷。それに伴い、会社員の年収も上がることはありませんでした。

 

年収が上がらないことが普通となり、慣れてしまった世代にとって、「会社員の年収は上がるのが当たり前」という時代は、歴史の教科書に出てくるような感覚かもしれません。

 

戦後、1950年。会社員の平均年収は前年比108.1%の12万8000円。それから景気に波はあれど年収は右肩上がりで、1971年には100万円を突破。1975年には200万円、1981年には300万円、1989年には400万円を上回りました(関連記事:『戦後70年、会社員の年収の推移』)。

 

ずっと右肩上がりだった会社員の年収にブレーキがかかったのは1993年。バブル崩壊によって日本経済はガタガタに。この年、戦後初めて会社員の平均年収は前年比99.4%とマイナスを記録。その後、1997年まで前年比プラスを続けましが、1998年に再び前年比マイナスを記録すると、2007年、2010年を除き、前年割れを記録。2012年には408万円と、1989年の水準まで落ち込んでしまったわけです。

 

近年はアベノミクス効果などもあり、再び会社員の年収は前年を上回り続けましたが、今回のコロナ不況、そして世界でも経済回復が遅れている日本の実情を顧みると、再び減少トレンドがしばらく続く懸念が広がっています。

 

【日本の会社員の年収の推移】

1987年 371.8万円(102.5%)

1992年 455.0万円(101.9%)

1997年 467.3万円(101.4%)

2002年 447.8万円(98.6%)

2007年 437.2万円(100.5%)

2012年 408.0万円(99.8%)

2013年 413.6万円(101.4%)

2014年 415.0万円(100.3%)

2015年 420.4万円(101.3%)

2016年 4216万円(100.3%)

2017年 432.2万円(102.5%)

2018年 440.7万円(102.0%)

2019年 436.4万円(99.0%)

 

出所:国税庁『民間給与実態統計調査』

(かっこ)内は前年比