子どもが生まれると、夫婦2人だった生活費に加えて、教育費のことなども考える必要が出てきます。本記事では、子ども1人に約1000万円かかるとされている「教育費」を共働きで貯めるポイントを見ていきます。※本連載は、福島えみ子氏と江尻尚平氏の共著『お金が貯まる!世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。
子ども1人に約1000万円!?共働きで「教育費」を貯めるには? (※画像はイメージです/PIXTA)

「教育費」は事前に把握できるので、少しずつ用意する

「子どものためのお金は、じつは一番準備しやすいお金です」というと意外に思われるでしょうか?

 

確かに子ども1人にかかるお金は、金額でいえば教育費だけで1人約1000万円はかかるといわれるほどの大きなボリュームです。しかし、教育費は「いつ」「どれくらいかかるか」が、あらかじめ大体把握できるのが最大のメリットです。

 

小学校に入学して6年経てば通常は中学校に入学しますし、高校を卒業する年齢も普通に過ごせば、生まれてから18年後と決まっています。したがって、教育費はピークとなる大学の学費が必要な18年後に向かって少しずつ用意しておけばいいわけです。計画が非常に立てやすいのです。

 

ところが、「この子が大学入るのなんて、まだまだ先!」とのんびり構えていたり、そもそも教育費がどれくらいかかるのかを進学のその時がくるまで意識していなかったりすると、「足りない!」とあわてることにもなりかねません。

 

実際、お子さんが中学生や高校生になったあたりで、「思ったよりも教育費ってかかるんですね、大学のための学費の準備はいつ頃したほうがいいでしょうか?」というご相談も少なくありません。

 

じつは、子どもがまだごく小さいうちは、比較的お金がかからない時期といえます。いわゆる「教育費の貯めどき」とも言われる時期です。

 

ではどれくらい用意すれば?というめやすとして、小学校~大学の平均額を記載しました。

 

子どもの学習費 費用のめやす(平均額)
 

年収等の基準をクリアして学校教育の無償化が利用できる場合、小学校~高校までは、「学習費総額」から「学校教育費」を差し引いた額で考えてください。そのほか、学校教育費以外でも、子どもにかかるさまざまなお金を軽視していると、やっぱり足りないという話になってしまいがちです。

 

子どもの洋服代1つとってもそうです。成長に応じて洋服がどんどん小さくなって買い替えが必要だろうということはすぐに想像できるかもしれません。しかし、通学の洋服以外にも運動するときの服や靴が必要だったり、キャンプや遠足に行くときにはウインドブレーカーなどが必要になったりもします。入学式や親戚の結婚式に参列する礼服を用意しなければならないこともあります。

 

洋服だけでも意外とお金がかかる場面があり、そうなると、「こんなはずではなかった」となりがちです。だからこそ、子どもにかかるお金は「前もって」「余裕を見て」準備していくスタンスでのぞみたいものです。

 

子どもが生まれると同時に、あるいは子どもが生まれる前からでも、少しずつ子どものためのお金を準備していくことをおすすめします。大きなお金を準備するには、少しずつ、長い期間をかけて準備していくのがもっとも負担がかからない方法だからです。

 

ちなみに、教育資金は学校教育の無償化が制度化されたため、「もう子どもにそんなにお金かからなくなりましたよね?」とおっしゃる方も増えました。

 

しかし、無償化というのは基本的に学校の授業料を対象にしているため、修学旅行代や学校に支払う施設費等の授業料以外のお金は依然としてかかります。さらに、世帯収入により学校教育無償化の支援額も変わります。その無償化の制度がはたしてこの先も続くかどうかは、誰にもわかりません。できれば、無償化を前提にせずプランニングしておくことをおすすめします。

 

また、子どもを小学校からあるいは中学・高校から私立に通わせる場合は、受験前に塾に通わせ、夏期講習や模擬試験などのお金もかかりますから、大学入学よりも早い時期にまとまった額がかかります。

 

この点、「生まれたばかりの子どもが私立受験するかどうかなんてわからないよ」と思われるかもしれません。だからといって、子どもに「お友達も行くから、自分も高校から私立に行きたい!」と言われてから初めてお金の算段をするのでは、家計にダメージを与えかねません。

 

多くかかることを想定しておき、もし実際にそのお金を使わずにすめば、そのほかの子どものためのお金やレジャー費、老後資金にまわせばよいだけです。

 

私立の学費を想定していて、実際には高校まで公立に進学したお子さまのご家庭では、「お金が浮いた分、短期留学に行かせるお金にしようと思います」というご家庭も複数ありました。

 

このように、子どもにかかるお金の「波」をあらかじめ見越して、子どもが生まれる前から子どものための資金準備のスタートをきっておきたいところです。

 

福島 えみ子

マネーディアセオリー株式会社 代表取締役

 

江尻 尚平

スマートアイデア株式会社 代表取締役