夫婦で家計管理について「客観的な数字」で話し合う
自分は節約しているのに、相手が節約してくれない
「お金のこと、ちゃんとしなくちゃ!」と決心して家計のムダをなくそうとしているのに、「夫が(あるいは妻が)ちっとも協力してくれないんです」といった悩みは、ご相談の現場で本当によく出会う悩みです。
場合によっては、最初は夫婦で仲良く相談にいらしたにもかかわらず、途中で言い争いに近い状態になってしまうことも__。
妻が食費をおさえようと日々お弁当を作ったり買い物や献立を工夫したりしていても、夫は仕事帰りにコンビニで割高なビールやおつまみを買ってきてしまう。毎晩の晩酌での酒量だけでなく、飲み会も減らしてほしいのに一向に減らしたりする気配もない。
一方で、夫のほうでは、「自分はスーツを年1回買い換えるぐらいで洋服代をあまり使っていないのに、妻はまた新しい服を買ってきた。かと思えば、今度はそれに合わせた靴も買ってきた。浪費が多すぎる」と不満を持っている、などです。
確かに、夫婦のうち一方はしっかりお金の使い方を考えているにもかかわらず、もう一方はザルのようにお金が出て行っているケースは度々目にします。しかし、両方の言い分を聞いてみれば、お互いに「相手がちっとも節約してくれない」と思っているケースが少なくありません。
なぜそうした行き違いが生じるのでしょうか。
先ほどの例でいえば、妻が毎日お弁当をつくっていることが、どんな目的で、いったい何に貢献できているかが目に見えず、かつ伝わっていないからです。
もしかすると、単に栄養やダイエットを考えてのことだとしか思われていないかもしれません。もし、これが伝わっていればどうでしょうか。相手が頑張っているのなら、自分も頑張ろうという気持ちに自然となりやすいのが人情というものです。
ポイントは、「私がこんなに頑張っているのに」「自分だって」という感情論で話をすると水掛け論になるため、そうではなく、客観的な数字をもとに冷静に話をすることです。
「なぜ食費を削減する必要があるのか?」「いくら削減して貯蓄にまわせれば、将来に向けた貯蓄額をクリアできるか?」といった目的と数字が明確なら、一緒に同じ方向を向いて積極的な行動へとつなげていくことができます。
「何のために」という目的意識の共有なしに、やみくもに「節約してよ!」というだけでは、ただ上から言われた感だけが残り、行動につながらないばかりか不満が残るだけです。
この「何のために」「どれくらい」を客観的に数字で明らかにしていくのが、「共働きのための家計の見える化」なのです。