日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「2021年大学新卒者」。厳しい就職活動を経て社会人になった彼らの今後を考えていきます。
会社員平均給与8%減…コロナ禍の「大学新卒者」未来も希望もない

コロナ禍の就職活動…これまでにない厳しさがあった

2021年、4月に社会人になった新入社員。いままでにない困難に直面した人たちでした。

 

厚生労働省『大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況等調査』によると、就職希望者のなかの就職者の割合である就職率は、前年度比マイナス2.0ポイント減の96.0%。性別に見ていくと、男子は95.0%で前年度マイナス2.5ポイント、女子は97.2%で前年度マイナス1.3ポイントでした。

 

地域別に見ていくと、最も就職率が高かったのが「中部地方」で98.3%。一方、最も低かったのが「中国・四国地方」で94.5%でした。また下落幅が最も大きかったのが「近畿地方」で前年度比マイナス3.1%。コロナ禍の影響を一番受けた地域といえそうです。一方で下落幅が小さかったのが「九州地方」でマイナス0.2ポイントと、例年並みでした。

 

就職率はリーマンショックに次ぐ下落幅。コロナ禍で対面での面接が難しく、いままでにないリモートでの選考を経験した人も多かったでしょう。また観光や航空業界では軒並み新卒採用を抑制し、希望する業種、職種に付けない学生も増えました。

 

そのようななか、2020年10月時点の内定率は前年同月比マイナス7.0ポイント減だったのに対し、最終的にマイナス2.0ポイント減と、前年度に近い水準まで巻き返したことは評価に値する、という声も多く聞かれます。

 

東京商工会議所『2021年度 新入社員意識調査』では、そんなコロナ禍の就職活動を振り返っています。今回の就職活動は「厳しかった」「やや厳しかった」という意見が前年比9.8ポイント増加。リモートによる選考では、「目線・話すタイミングなど、面接中の対応が難しかった」「通信環境・周囲の環境・機材の整備に苦労した」「会社の情報・雰囲気が分からなかった」という苦労の声が多数あがりました。

 

また社会人生活への不安に関しては、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」が最も多く、51.5%。僅差で「仕事が自分に合っているか」が50.8%。「仕事と私生活とのバランスが取れるか」も多く47.9%となっています。

 

そして苦労した就職活動、コロナ禍による不安定な状況を反映してか、「今の会社でいつまで働きたいか」の問いに対して「定年まで」の回答が前年比8.0ポイント増加の29.3%となりました。