日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあたるのは「平均年金受給額」。2000年代の受給額の推移を見ていくと、驚くべき結果となりました。
年金平均受給額「2000年から3万円減少」将来はどうなってしまうのか

2000年代の「平均年金額」の推移を見てみると…

では実際、どれほどの年金を手にしているのでしょうか。

 

前出の『公的年金財政状況報告 令和元(2019)年度』によると、平均14万4268円(共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当)。男女別にみると、男性16万4770円(平均加入期間、441ヵ月)、女性10万3159円(平均加入期間、332ヵ月)となっています。

 

月、14万円強。この金額が多いのか、少ないのか、それぞれでしょうが、気になるのが、前述のとおり、日本の年金は納められた保険料をその時々の給付に充てる「賦課(ふか)方式」。給付額は毎年変わるということです。

 

そこで平均年金月額の推移を見ていきます。

 

2000年の初頭、平均年金月額は今よりも3万円ほど高い175,865円。2010年あたりまで大きく下がり、この10年は横ばいながらも下降トレンドにあります(関連記事:『2000年代「男女別平均年金額」の推移…男性で4万円弱の減少』)。

 

【平均年金月額(老齢基礎年金分を含む)の推移】

2000年:175,865円

2005年:165,083円

2010年:150,406円

2011年:149,687円

2012年:148,422円

2013年:145,596円

2014年:144,886円

2015年:145,305円

2016年:145,638円

2017年:144,903円

2018年:143,761円

2019年:144,268円

 

出所:厚生労働省『公的年金財政状況報告 令和元(2019)年度』

 

受給権者全体の平均加入期間は延びていますが、そのなかで減少傾向にあるのはなぜなのでしょうか。報告書では、給付乗率の大きい年金の受給権者や定額単価の高い受給権者が年々減少していること、単身者の増加で配偶者に係る加給年金が加算される受給権者が減少していること、年金の物価スライド(物価の変動に応じて、金銭の支給・供給額を上下させる仕組み)の引下げなどを要因としてあげています。

 

つまり平均としては20年で3万円ほど年金額は下がっていますが、実際に年金を手にしている人たちの生活ぶりまでが下降線、とはいえないないわけです。

 

しかし平均受給額が減っているのは事実。「年金は破綻しない」は本当かもしれませんが、「年金での生活を保証する」とはいっていません。今後「年金が減額された、生活できない……」という事態にならないとはいえないわけです。

 

そのような事態で困窮しないために現役世代の人たちにできることは、早め早めの資産形成。将来を見据えて、自分に合った方法で進めていくことです。