日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあたるのは「平均年金受給額」。2000年代の受給額の推移を見ていくと、驚くべき結果となりました。
年金平均受給額「2000年から3万円減少」将来はどうなってしまうのか

安心してください!「日本の年金制度」は破綻しません

将来、年金がもらえるのだろうか……

 

そんな不安を抱いている人もいるでしょう。高齢化が進むなか、高齢者1人を現役世代1人で支えないといけない、などとたびたびニュースにもなるので、仕方がないことかもしれません。

 

それに対して、「日本の年金制度は破綻することはない!」という主張がされています。たしかに、日本の年金制度は非常に優れているといわれています。

 

日本の年金制度は、「社会的扶養」の仕組みで成り立ち、社会全体で支えています。また日本国内に住む20歳以上が全員加入する「国民年金(基礎年金)」と、企業などに勤めている人が加入する「厚生年金」の二階建て構造となっています。

 

そもそも年金制度は大きく「積立方式」と「賦課(ふか)方式」の2つがあります。

 

積立方式は、積立金を原資に運用収入を活用できる一方で、インフレによる価値の目減りや運用環境の悪化、運用収入の範囲でしか給付できません。

 

一方、日本が採用する 「賦課(ふか)方式」は納められた保険料をその時々の給付に充てる、いうなれば単年度決算のような方法です。年金給付の財源は「税金」と「年金積立金」を活用することでバランスを取る想定で、この年金積立金は、これまでに払い込まれた保険料のうち、年金の支払いに充てられた後、さらに余った分です。

 

厚生労働省『公的年金財政状況報告 令和元(2019)年度』によると、年度末積立金は200兆円近くあり、これは年金支給額の約5年分。世界を見渡しても良好な状況です。さらに積立金の多くを運用しているのが「年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)」で、その運用成績もなかなかのものです。

 

積立金=年金の原資というわけではないので、「日本の年金は破綻しません。安心してください」という主張につながるわけです。