十分な睡眠時間をとっていても、疲れが取れない、日中に眠くなるという方は少なくありません。もしかすると、日々の生活習慣が影響を及ぼしている可能性もあるため、要注意です。スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が、専門家の見地から良質な睡眠を得る方法を解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
昼間の強烈な眠気は「夜のくつろぎタイム」が原因かもしれない (※写真はイメージです/PIXTA)

定期的な運動習慣で「深いノンレム睡眠」を増やす

●眠りが浅く、寝足りない!

 

運動を習慣づけることで睡眠の質が改善するという研究結果があります。

 

事実、運動をした日は、心地よい疲労感から深く眠れます。運動で睡眠を改善するカギは体温変動や、免疫細胞から分泌されるたんぱく質であるサイトカインの産生にあると考えられています。

 

適度な運動を行なうと、入浴の効果と同様に、深部体温が大きく上がってから下がる作用が働き、皮膚温度との差が縮まって眠くなります。

 

たとえば、夕方ごろに体を動かすと、ベッドに入る時間には、いったん上がった深部体温が大きく下がり、眠りやすくなります。快眠のためには、運動を習慣として行なうとよいのです。

 

海外の研究で、定期的に運動をつづけると寝つきがよくなったとの報告があります。それだけでなく、最初の深いノンレム睡眠が増え、途中で目を覚ますことが減り、全体の睡眠時間が長くなり、睡眠の質が改善されたのです。

 

なお、筋肉痛になるほどの運動は寝つきが悪くなることもあります。会話を楽しみながらできる程度のジョギングやウォーキングなど、負荷の軽い有酸素運動が適当でしょう。

 

週に2〜3回以上の運動を行なう習慣をつけると、睡眠のリズムもだんだん整います。よりよい快眠生活を送りたい人は、就寝3時間前までにジョギングなどで適度に汗を流すなどの運動習慣を心がけるとよいでしょう。

 

 

 

 

西野 精治

スタンフォード大学 医学部精神科教授・医学博士・医師

スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長

日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員

日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員