不眠に苦しむ人が増え続けています。睡眠は免疫とも深い関わりがあるため、健康維持のためにもおろそかにできません。しかし、生活習慣のほか、寝具や寝室の環境を変えることでも改善は可能です。スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が、専門家の見地から良質な睡眠を得る方法を解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
ぐっすり眠れるのは「高反発 or 低反発」どちらのマットレス? ※画像はイメージです/PIXTA

夕方以降は赤い光を灯し「睡眠モード」へ切り替えを

●真っ暗だと眠れない

 

光の色は、睡眠の質に作用するとされています。

 

深く眠っているときは、感覚が遮断されて光を感じません。しかし、浅い睡眠時は光の刺激を感じとっているので、寝室を暗くしたほうがぐっすり眠れます。真っ暗だと不安で眠れなくなる人は、常夜灯の光の色を工夫しましょう。

 

光には目に見える可視光線と、紫外線や赤外線のように見えない光があります。可視光線は波長の短い紫(ブルーライト)から、波長の長い赤い光まで7色に分けられます。蛍光灯や太陽光は7色すべてを含む白く強い光です。日中に浴びれば覚醒を維持し、活動的にすごせます。

 

 

しかし、夕方以降も浴びつづけると睡眠ホルモンであるメラトニン分泌が抑えられ、入眠をさまたげてしまいます。網膜に存在するメラノプシンという光受容体が、470nmの波長のブルーライトに反応してメラトニン分泌を抑制すると、最近の研究で明らかになったのです。

 

入眠時につけておくなら、長い波長で暖色系の赤い光がいいでしょう。暖色系の光は、体内時計やメラトニンの分泌に対する影響が小さいとわかっています。夕方以降は赤い光を灯すことで、睡眠モードへ切り替えられるのです。

 

寝る1時間前に明るさをさらに落とすと、メラトニンの分泌が促され、より眠りやすくなります。就寝時は間接照明の控えめな赤系の明かりを、足もとに置いて灯すとよいでしょう。