新型コロナウイルスの蔓延により生活習慣を見直し、睡眠の重要性を再確認した人も多いでしょう。睡眠は免疫とも深い関わりがあることが判明しており、健康維持のためにもおろそかにしてはなりません。本記事は、スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が良質な睡眠を得る方法を解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
スタンフォード大医学部教授が指南「誰でもぐっすり眠る方法」 (※写真はイメージです/PIXTA)

なかなか寝つけない人は「芳香浴」を試してみよう

 ●リラックスする香りが眠りの準備を整える

 

芳香浴(ほうこうよく)とは、部屋を植物の香りで満たす、アロマの楽しみ方のひとつです。

 

古くから、植物は傷や病を癒(いや)すために利用されてきました。植物のもつ香りの力に注目し、療法として確立されたのが「アロマテラピー」です。アロマテラピーは、植物から抽出した香りの成分の精油(エッセンシャルオイル)を使って行ないます。

 

鼻から入った香りの情報は、感情や記憶に関係する脳の海馬(かいば)や扁桃体(へんとうたい)のほか、自律神経をつかさどる視床下部(ししょうかぶ)へと送られます。なかなか寝つけないとき、自律神経は交感神経が優位な状態にあります。アロマの香りを使って副交感神経が優位になるよう整えることで、心身ともにリラックスして眠りやすくするのです。

 

海馬は記憶にかかわる部位ですが、その香りと結びつくよい記憶が思い出されると、気持ちは自然と穏やかになります。また、好き・嫌いを判断する扁桃体に伝わり、「好きな香り」と判断されれば、心地よさを感じるようになります。

 

 

入眠のためには、心を落ちつかせる効果のある香りを選ぶことがポイントです。たとえば、ラベンダーの香りは、高いリラックス効果があると認められています。

 

眠る前には、鎮静効果のある柑橘(かんきつ)系の香りとブレンドすると、入眠効果がより高まるといわれています。