大統領選挙が「不動産価格」にも影響する?
上記はあくまで販売「数」に対する分析で「価格」に対する分析ではありません。しかし、過去の調査データをもとに、大統領選は不動産の価格面にも影響を及ぼすことを示唆する意見(※3)もあります。大統領選の年は、その前後の年と比べて、住宅価格の上昇率が低くなるというのです。調査によれば、大統領選の前年、大統領選の年、大統領選の翌年の住宅価格上昇率は、それぞれ6%、4.5%、5.3%という数字に。大統領選の年が、もっとも低い上昇率を示しています。
一見、6%から4.5%という1.5%程度の低下は、割合的にはそれほど大きなものには見えません。しかし、取引の当事者からすると、ときに数千ドルもの差額に及ぶこともあります。これらのデータを見るに、買い手の立場からすると、大統領選がある年のアメリカ不動産の購入はお買い得傾向にあると言えるかもしれません。ではなぜ大統領選の年に、このような変化が起こるのでしょうか?
国を主導するリーダーが変われば、それに伴いさまざまな政策・制度も当然変わります。ましてアメリカのような大国の指導者が変わるともなれば、よりラディカルな変化が起こると考える人が増えても不思議ではありません。それは不動産市場についても同じです。
つまり、誰が大統領になるか明確な判断がつかないうちは、不動産に関する政策や税制にどのような変化が生じるかも見当がつきにくいため、積極的なアクションを取る消費者が減るであろうことが推察されます。
大統領が決まる11月以降、不動産市場に回復傾向が見られるのもそれを裏付けていると言えます。大統領選の年に不動産市場が停滞傾向になる背景には、こうしたことが大きな要因としてありそうです。
「不動産政策」に関しても対立している両候補
現職のトランプ大統領と対立候補の民主党代表ジョー・バイデン氏。2人はそれぞれ、不動産政策にどのようなスタンスを取っているのでしょうか?