2023年頃から、Webサイト運営者の間でBingからの検索流入が増えているという声をちらほらと聞くようになりました。「10年以上も運営されているサービスが、なぜ今になって? 」とお感じになる方も多いのではないでしょうか? 本記事では、Bing利用者は本当に増えているのか、増減の理由はどこにあるのかを調査します。

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Microsoftの検索エンジン、Bingの利用者は増えている?

そもそもBing(ビング)は、GoogleやYahoo!などと同カテゴリの検索エンジンサービスです。提供元はビックテックの一角であるMicrosoft。2005年にリリースされたMSNサーチが、Liveサーチ、Microsoft Liveサーチと名前を変え、2009年6月にBingとなりました。前身となるサービスから数えれば20年近い歴史を持つサービスです。

 

日本ではYahoo!に次ぐシェア3位のサービスですが、世界的にはGoogleに続き2位のシェアを持ちます。といっても、Webトラフィック解析を行うstatcounter.com によると、2024年1月のグローバルシェアはGoogle91.47%に対しBing3.42%と、Googleとの差は圧倒的です。そんなBingの利用者が増えているというのは本当でしょうか?

 

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客観的なデータからは「微増」でしかない

statcounter.comのデータを元に分析すれば、「増えてはいるが、Web運営者の肌感が変わるほどかは疑問」というのが実態です。ここからはグローバルシェアではなく、日米のシェアを参照します。

 

日本でのシェアは23年1月の7.18%から24年1月の8.11%へと、0.93ポイント増加しました。増えたようにも思いますが、22年6月にはすでに8.19%のシェアがあったため、そこからは微増微減を繰り返しながらほぼ横ばいが続いています。

 

米国では、23年1月の6.67%から24年1月の7.87%へと1.20ポイント増加。こちらも22年6月には7.03%のシェアがあり、日本同様に横ばい状態です。

 

22年から増加しているのは、21年10月にリリースされたWindows11へのアップデートが進んだからでしょう。Windows11では、画面下に固定表示されるタスクバー中心に検索ボックスが置かれるようになりました。この検索ボックスのエンジンがBingであるため、利用が急増したのです。これは、スマホでの閲覧のシェアがほとんど変わらず、PCでのみ増加が見られる事実とも一致しています。

 

OSアップデートの実施時期は、使用機種や勤め先のポリシーによっても変わるため、一気に変化はせず、徐々にユーザーが伸びました。その後、やはりGoogleのほうがいいとタスクバーからの検索をやめてブラウザ検索に回帰した人が出たことで微減に転じ、23年2月にAIチャット機能を搭載したことで再度増加、ブームが去ってまた微減しはじめているのが現在の状況です。

 

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一部サイトではBingユーザーが増加している可能性も

このように、総論としてはBingのユーザーはほとんど増えていないのですが、Windows PCから閲覧されがちな一部の商材を扱うWebサイトには、Bingからの検索流入の存在感が増している可能性があります。

 

それは、以下のような特徴を持つ製品/サービスです。

 

■ビジネス関連

オフィスからのWeb閲覧は現在もPCが優勢なのに加え、会社貸与のPCはまだまだWindowsが手中です。ビジネスメディアやビジネス資材を扱うWebサイトであれば、Bingからの検索も期待できます。

 

■検討期間の長い商材

安価な商品やサービスであればスマホで探してスマホで買うという意思決定が行われますが、高額商材の場合はより慎重に検討しようとPCでも情報収集を行うのが一般的です。自動車や不動産、あるいは就職先を探す際には、Bingで調べる人もいるでしょう。

 

■中心顧客の年齢層が高い

若年層のなかには、PCを持たずスマホですべてを完結するという人が増え始めていますが、30代以上の人々は両方を使いこなしているはずです。

 

■先端技術に関わる

いち早くAIを導入したことからも分かるように、Bingは新しい技術の活用に積極的です。テクノロジーやデジタルガジェットに関心の強い人はBingを試す可能性が高いため、そうした人と相性のいい商材のWebサイトは恩恵を受けるかもしれません。ただし、彼らは移り気でいろいろなサービスを使用するため、次に来訪するときには別の検索エンジン経由になっているかもしれません。

 

これらのうちのいずれかに当てはまる商材のWebサイトであれば、Bingユーザーが実感できるくらいに増加しているかもしれません。とはいえ、まだまだGoogleとの差は大きく、ほぼ寡占状態です。Googleが焦り、新しい機能やサービスを導入するくらいには市場をかき乱してほしいものですね。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。
本記事は、掲載日時点の情報を基に作成しています。最新状況につきましては、スタッフまでお問い合わせください。