『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したFODを例に解説していく。

夜中に解約申し込みをする人が「悩む傾向にある」ナゾ

◆FODでも解約するかどうか悩んでいる人が一定数いる

 

FODのチャットボットでも、「解約を希望しますか?」と聞いたときに「はい」「いいえ」に「解約するかどうか悩んでいる」という選択肢を加えて答えてもらっています。するとバンダイチャンネルよりはやや少ないのですが、「悩んでいる」人がやはり毎回3%程度います。どのサービスでも「悩んでいる」人の率がほぼ変動することなく存在しているのは興味深い現象です。この「悩んでいる」人たちの解約防止率は10倍です。

 

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動画配信サービスでは、新規加入者とほぼ同数のユーザーが解約していくことは書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』にてお話ししました。毎月の新規加入者数が仮に100万人で、解約者数が98万人というのが典型的なケースとすると、会員数に対して純増した比率は2%です。逆に解約者数の方が2万人多ければ、2%ずつ減っていきます。

 

「解約するかどうか悩んでいる」人が3%いるということは、この人たち次第で増加か現状維持か減少かが左右されることになります。その意味でも「悩んでいる」人を引き止めて、なおかつその理由や行動を分析することは、経営上重要なポイントになってきます。

 

「悩んでいる」人を利用端末で分類してみると、パソコンで見ている人は少なく、スマートフォンが多くなっています。またスマートフォンから解約する時間は夜10時から深夜1時ぐらいに集中しています。

 

このことから解約する時間や利用端末と解約率の関係について仮説を立ててみました。

 

アメリカでは、ベッドインショッピングという言葉があります。ベッドに寝ころがってものを買うと思考能力が落ちて、なんとなく買ってしまうことが多いというのです。夜横になってスマホでつい買い物をしてしまったので、その分節約しないといけない。じゃあ動画を見るのを我慢して解約しよう。こんなふうに、なんとなくやめようかなと思った結果が「解約するかどうか悩んでいる」ということになっているかもしれません。

 

でも「なんとなく」ですから、これも見られます、あんなこともできますと説得されると、ああそうか、じゃあ続けようとなる。仮説なのでここまでの検証はしていませんが、解約防止率10倍の理由はこんなところにもあるかもしれません。

 

ある統計調査では、3万円以上の買い物や保険の申し込みはスマートフォンではなくパソコンでする人が多いという結果が出ています。では動画配信のようなサブスクリプションではどうでしょうか。パソコン利用者とスマートフォン利用者を分けてデータを取っているので、分析することで利用端末の違いと解約防止率との関係が明らかになるかもしれません。

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