『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したFODを例に解説していく。

FOD解約寸前の人が知らなかった意外すぎるサービス

◆男性のユーザーが多いことがチャットボットからも証明

 

チャットボットを解約ページに入れたことがきっかけで、FODがユーザーに対して持っていた見方の裏付けもできました。

 

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FODの社内では、圧倒的に女性の会員が多いというのが共通認識でした。利用者データからも40〜50代の男性に第3のボリュームゾーンがあることは分かっていましたが、チャットボットのデータからも改めて証明することができました。

 

また、サービスの提供者側が、うちはここが強いはずだと信じていることがユーザーとのギャップを生み、それに気づかないことは珍しくありません。チャットボットは得られたデータでそのギャップを知らしめて、両者の橋渡しをする役目を果たしています。

 

◆雑誌閲覧サービスがあることをユーザーが知らなかった

 

もうひとつ、チャットボットと解約希望者との会話で初めて分かったユーザーの実態があります。

 

FODは動画だけでなく、電子書籍配信プラットフォームで100種類以上の雑誌を読むことができます。このサービスを会員は知っているのかFODに尋ねると、大量にCMを流しているからよく知っているのではないか、知らないとしてもせいぜい2割ぐらいではないかという返事でした。

 

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では実際はどうなのかと、チャットボットが解約ページで「雑誌のサービスをご存じでしたか」と聞いてみました。すると「知っている」と「知らない」の回答数がほとんど同数だったのです。企業側としては予想外の数字です。ここにもユーザーとの乖離がありました。そして雑誌のサービスがあることを知らないままやめていく人が少なくないという現実も見えてきました。

 

他社の配信サービスでは、NTTドコモ系のdマガジンが同じような雑誌を読むことができて月額400円です。ネットフリックスのベーシックコースが800円なので、もし両方の会員になると月額の会費は合計1200円になります。そのため雑誌も付いている動画配信サービスで888円というFODは、動画にも雑誌にも興味がある人にとっては割安でお得なサービスなのです(金額はいずれも税別)。

 

チャットボットで知っているかどうかを聞くだけでなく、雑誌もドラマも楽しめるのはFODだけですと訴求するようにしましたので、それに対するユーザーの反応や解約防止にどれだけつながるかも見えてきます。

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