『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したバンダイチャンネルを例に解説していく。

「仕事が忙しくてやめる」人にお勧めするアニメ

「仕方なく解約する」という人の理由では「仕事が忙しくなった」が約4分の1で一番多くなっています。

 

チャットボットに「仕事が忙しくなった」と答えると、「お体に気をつけて頑張ってください。もしよかったら忙しい方にぴったりの癒し系アニメをご覧になりますか?」というメッセージが返ってきます。ブラック企業に勤めている主人公が、動物に癒されてまた頑張れるという内容のアニメです。

 

忙しいから見られないと言っている人にアニメを見るように勧めているのですが、そういうおせっかいをしなくなっている現代だからこそ、一歩踏み出したレコメンドをしてみてはどうかという発想です。

 

この「ご覧になりますか?」の案内で、10人中3人がお勧めする作品を見に行きました。その成果は分かりませんが、視聴した後で解約を考え直した人もいます。デジタルの世界におせっかいがあっても、しつこく繰り返すわけでなければ、意外と喜ばれるのかもしれません。

 

チャットボットでヒアリングをしていくと、アクション映画をよく見ている人に撃ち合いのシーンが多い作品を勧めるといった単純なレコメンデーションではなく、忙しい人向けや引越する人向け、結婚する人向けといった一歩寄り添ったレコメンドができるのではないかということが見えてきました。

 

今はまだ人が書いたシナリオで作品を紹介していますが、AIを使ってその人についてのさまざまなデータをもとにしたレコメンドをすることが可能です。ライフイベントでなくても、失恋したならこういう映画があるよとか、気が滅入って会社をずる休みしたならこのアニメを見ると気分が晴れるよといったような感じで、一人ひとりと密なコミュニケーションを取ることが、解約防止にとどまらず「1対1マーケティング」をするひとつの手段になり得るかもしれません。

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