一般的な治療では、ひざの痛みを抑えられない理由
◆「手術は60歳を超えてから」は、なぜなのか
40~50代で多くの人が経験するひざの痛み。その主な原因は、
痛みに耐えかねて医療機関を受診したけれど、
私も医師としてその気持ちはよくわかります。というのも、変形性膝関節症でもっとも一般的に行われる人工関節置換術は、80%程度の人に効果があり15年ほど持つと言われています。
再手術する年齢は、当然ながら高齢になります。全身麻酔を使った大がかりな手術。しかも、ひざの手術は多量の出血の可能性があることや、血栓が起きやすいなど高齢者ではリスクが高まります。ですから、人工関節置換術は60歳を超えてから(できれば70歳を超えてから)すすめたい治療法なのです。
では、手術をするまでのあいだの痛みはどうするか。多くの患者さんは、ヒアルロン酸注射でしのいでいます。ただし、ヒアルロン酸は体内に吸収されてしまう成分ですから、1~2週間ごとに注射をしなければ痛みはぶり返してきます。
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「再生医療」はひざ痛治療を劇的に変える
◆画期的ではあるが、臨床実用までに時間のかかるiPS細胞
ここへ来て変形性膝関節症の治療に光が差し込んできました。それが「再生医療」をはじめとする先進的な治療です。
2014年に新たな法律が施行され、国も再生医療の実用化を推進する取り組みを実施し始めました。それに伴い、さまざまな医療分野で再生医療による治療が開発され、実際に臨床現場で利用され話題になっています。
再生医療と聞くと、iPS細胞を思い浮かべる人が多いかもしれません。iPS細胞は、人工的につくられた未分化な幹細胞で、
治療研究については「ただの理想じゃない!
◆いらない脂肪細胞を利用する「間葉系幹細胞」による治療
一方、変形性膝関節症の治療では、体内にそもそも存在する「
臀部や腹部などから、不要な脂肪を採取し、加工したうえでひざへ注入します。採取できる脂肪量が多い場合には、その日のうちにひざへ注入することも可能ですし、少量の脂肪であっても6週間ほどかけて培養することで量を増やし注入することもできます。
脂肪由来の幹細胞には、脂肪のほか、骨、軟骨、血液、
実際、私たちのクリニックの治療実績では、国際基準でみて60%
◆自己治癒力が発揮されるPRP治療
もう一つ、注目されているのが「PRP(多血小板血漿)治療」です。
私たちの体には、傷を負うと自ら組織を修復させる「自己治癒力」が備わっています。たとえば擦り傷ができると、血液が集まってきてかさぶたをつくり、次第に治癒に向かいます。このときに体内では、血液中の血小板に含まれるさまざまな物質が関与し、皮膚などの組織の再生を行っています。
ところが、関節の軟骨や靭帯などは、血管がほとんど通っておらず血流がありません。そこへ注射によって血液成分を入れるのがPRP治療です。患者さんから血液を採取し、遠心分離などによって、血小板を多く含む血漿だけを取り出し、ひざ関節に注射をするだけという、シンプルなものです。
◆成長因子が、PRP治療の効果をさらにアップ
さらに、ここ1~2年でPRP治療は進化し、当院でも扱っているのがPRP‐FD注射です。これらの先進的な治療は、ひざ関節が大きく変形してからでは、痛みの除去が難しい場合があります。しかし逆に言うと、痛みが小さなうちに実施することで「症状を悪化させない」期待が持てます。
現役世代でひざ痛に悩んでいる人は、なるべく早い段階で先進的な治療を検討するのが望ましいでしょう。
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