ひざの音がミシミシ鳴るのは危険信号!変形性膝関節症を疑え

ひざを屈伸したときに「ポキポキ」音がするようになると、ひざ関節の病気の始まりなのか⁉ と不安になります。「ミシミシ」「ギシギシ」「ガリガリ」といった音がするという人もいるでしょう。その音は、危険な音なのか、それとも放置してよいのか。変形性膝関節症の治療に詳しい、東京ひざ関節症クリニック銀座院の輿石暁院長に、ひざの音と病気の関係について伺いました。

ひざの音よって「変形性膝関節症」の危険度が異なる

◆ポキポキ音は気泡が弾ける音

ひざを曲げ伸ばしすると「ポキポキ」と音が鳴る人は少なくありません。悪い病気を予感させますが、ポキポキという音だけで痛みがなければ心配は不要です。クラッキング音と呼ばれるもので、原理は手の指の関節を自身でポキポキ鳴らすのと同じです。

 

関節は「関節液」という液体で満たされており、関節が動く際には関節液が軟骨を保護して摩擦が起きにくいようにしています。ところが、急に関節が動くと関節液の圧力が急激に変化し、空洞ができます。この空洞に溜まった気泡が弾けるときの音が「ポキポキ」という音だと考えられています。決定的な解明には至っていませんが、現段階では病気による音とは判断しませんので、治療は不要です。

 

ただし、気泡が弾けるのは、関節に大きな圧力がかかっている証拠。わざと鳴らすのはやめておいたほうがよいでしょう。

 

◆「ミシミシ」「ギシギシ」は注意が必要

痛みのない「ポキポキ」「パキパキ」という音はスルーして構いませんが、痛みが伴う場合や、「ミシミシ」「ギシギシ」といった何かがこすれるような音が聞こえる場合は、変形性膝関節症との関係を疑いましょう。

 

軟骨同士が触れ合って摩擦を起こしていると考えられます。放置しておくと、変形性膝関節症が悪化し、痛みが増し、ひざ関節の骨そのものにも変形が生じてしまいます。「ゴリッ」「ガリガリ」といった音の場合、軟骨がすでになくなってしまっている可能性も考えられます。

 

米国で行われた調査では、「ひざを動かした際にきしみを感じたり、音が鳴ったりすることがある」という人は、そうでない人に比べて、変形性膝関節症になる危険度が1.5~3倍になるという結果が出ています。痛みとともに骨がこすれるような音がした場合は、なるべく早く受診するようにしてください。

 

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「変形性膝関節症」を探るセルフチェック

◆音以外の「変形性膝関節症」の危険因子を探る

音が鳴る以外にも、変形性膝関節症を自身でチェックするための項目がいくつかあります。以下の「危険因子A」にひとつでも当てはまれば変形性膝関節症の疑いがあります。

 

危険因子A
check.1 立ち上がるときや歩きはじめにひざに痛みがある
check.2 階段では上りより下りでひざが痛む
check.3 ひざが曲がりづらく正座が困難
check.4 ひざを伸ばして座ると、床とひざの間にこぶし1つ分ほどの隙間ができる
check.5 ひざの痛みでしゃがむことが苦痛

 

◆日常生活から「変形性膝関節症」の危険因子をピックアップ

今はひざに痛みがなくても、ひざ関節からこすれるような音がしている場合は、以下の「危険因子B」をチェックしてください。ひとつでも当てはまれば、変形性膝関節症に罹患しているリスクが高いと判断できます。

 

危険因子B
check.6 急激に太った
check.7 過去に膝関節や骨折、脱臼などのケガの経験がある
check.8 このところ、運動らしい運動をしていない
check.9 X脚もしくはO脚である
check.10 立ち仕事をしている

 

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軟骨の状態がひと目でわかる「3D解析システム」

◆自分のひざの痛みに関して、ある程度まとめておくことが大切

ひざ関節の音に加えて、危険因子AやBで当てはまる項目のあった人は、早急に医療機関で診断を受けましょう。

 

医療機関では、まず、問診と触診が行われます。痛みを感じ始めた時期、痛む場所、どんな痛みか、一日のうちでいつ痛みを強く感じるのか、痛みを感じない時期はいつなのか、などを問診で聞かれます。あらかじめメモなどにまとめておき明確に伝えられると、治療方針を立てやすくなります。また、骨や腱、筋肉の状態を確認する触診も行われます。痛みがあるときには遠慮せず伝えるようにしましょう。

 

◆レントゲンでグレード0~4に分類

[写真①]

 

必ず行われるのがX線検査です。骨が欠けていないか、変形していないかの確認と、大腿骨と脛骨の傾きからO脚やX脚などのチェックを行います。

 

写真①はレントゲン写真から判定した変形性膝関節症の進行状態です。正常をグレード0として、グレード4までの判別をします。しかし、患者さんがどのグレードまで進行してるのか、具体的な説明まではしていない医師も少なくありません。

 

整形外科は外来の患者さんが多く、丁寧な診察や説明をする時間がなかなか取りにくい実情があります。「変形性膝関節症です」と伝え、病気についての説明はパンフレットを手渡されるケースもあるでしょう。当院の患者さんから話を伺っていると「加齢のせいですね」と言われただけで、病名を知らない方もいらっしゃいます。ただ、診察のやりとりは、患者さんと医師との信頼関係を構築する重要な要素のひとつです。このことが、変形性膝関節症の治療をあきらめてしまう患者さんが多くいる現実にも関係しているように感じています。

 

◆3Dビジュアル化で患者ファーストの診断解析が可能に

X線検査はマストですが、実は変形性膝関節症の根本原因である「軟骨」はX線には写りません。また、半月板や靭帯の状態も痛みに関係する要素ですが、同じくX線では確認することができません。それらを確認するにはMRI検査を行います。ひざ関節を専門に診るような医療機関では、変形性膝関節症の検査でX線に加えてMRI撮影を行うところも増えてきているようです。

 

ひざ関節症クリニックでも、初診のときには必ずMRI画像も参考にするようにしています。ただ先にもお話したように、丁寧な説明も必要です。そこで銀座院では、MRIの最新解析システムを導入し、軟骨を3D画像としてビジュアル化(写真②)しています。これによって、治療前後の軟骨量や厚みの変化を視覚的、数量的に比較することができます。

 

[写真②]

 

X線写真や通常のMRI画像では「どこがどうなっているのか」患者さんにはわかりにくいと思いますが、3D画像であれば、患者さん自身もひざの状態を具体的に把握できます。「これ以上、軟骨がすりへれば、骨そのものにも影響が出る」ことが明確にわかり、積極的な治療への取り組みにもつながっているように感じます。

 

変形性膝関節症の積極的な治療としては、「PRP-FD注射」や「培養幹細胞治療」といった、再生医療をはじめとする先進的なものが注目を集めています。こうした先進的な治療にも、画像解析が大変役立っています。

 

ひざがギシギシ鳴る、痛みがある。ひざに違和感を覚えたら、ひざを専門に治療する医療機関で細かい検査を受け、自身のひざの状態を的確に把握するようにしてください。

 

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東京ひざ関節症クリニック銀座院 院長

■東京ひざ関節症クリニック銀座院  https://www.knee-joint.net/


東京大学医学部付属病院や関連の総合病院で勤務し、医長を務めた経験も持つ。変形性膝関節症からスポーツ整形まで手術も数多く執刀するなど、ひざ専門に診療してきた。日本整形外科学会認定 整形外科専門医。

著者紹介

連載専門医が教える「ひざの痛み」を改善させる基礎知識&最新情報