日本国内では、長らく現金資産が安全かつ最強の資産とされてきましたが、近年、日本銀行のインフレ政策への転換により、日本円の現金資産は大きなリスクにさらされています。そのような中、欧米の富裕層の間で安定した資産として人気のダイヤモンドに注目が集まっています。本連載ではシンワダイヤモンド倶楽部主催の倉田陽一郎氏に、資産としてのダイヤモンドの可能性について解説いただきます。

「資産防衛」としてのダイヤモンドとは?

今、婚約指輪や装飾品としてのダイヤモンドの販売が世界的に低迷しているそうです。

 

1981年から1996年の間に生まれたミレニアル世代と呼ばれる人達は、固定概念を取り払い、新たなビジネスモデルを展開していくユニークな世代と言われますが、車もオフィスも持たず、着る服やバッグも流行にとらわれない自由なスタイルを好む傾向にあります。

 

そのため、ミレニアル世代が積極的に婚約指輪にお金をかけて天然のダイヤモンドを購入しようとしない、また、安価な人工合成ダイヤモンドを使い天然のダイヤモンドにひけを取らない美しい装飾品が登場しているなかで、わざわざ、高額な天然ダイヤモンドを購入する必要はない、と考えるのは理解できる話です。

 

一方で、今、日本においても、そして諸外国においても、「資産防衛としてのダイヤモンド」が、根強い需要の中で、大きな売上を上げているのをご存じでしょうか?

 

中身は同じ天然ダイヤモンドだったとしても、資産防衛ダイヤモンドは、経済的な危機が起こったり、有事の際や法定通貨が使えなくなったりした際に、換金したり交換することによって生き残り、危機をチャンスに変えるための資産として保有するダイヤモンドです。

 

換金性が高い資産防衛としてのダイヤモンド(※イメージ)
換金性が高い資産防衛としてのダイヤモンド(※イメージ)

 

一方、装飾品としてのダイヤモンドは、安定した世の中で、美しく着飾るために所有するダイヤモンドのことを指します。

 

また、「資産防衛としてのダイヤモンド」と「装飾品としてのダイヤモンド」には、他にも大きな違いがあります。非常に単純な話でありますが、価格と種類が異なるのです。

 

「装飾品としてのダイヤモンド」は、見た目が綺麗であれば問題ありません。実際には数多くのブランドショップや百貨店が、「装飾品としてのダイヤモンド」を販売しています。デザイン作成料や加工費が上乗せされ、かつ大きな利幅を乗せているので、価格は当然高額になります。

 

一方「資産防衛としてのダイヤモンド」は、装飾品として成り立たせるための費用が発生せず、かつ適正な価格で入手することができるため、安定資産となる可能性が高いものです。

 

安定資産は購入した後、換金できるものでなくてはなりません。購入価格が換金価格の何倍も高ければ資産としての価値が低いということになります。「装飾品としてのダイヤモンド」を換金した時の問題点は、その資産性の低さにあります。デザイン作成料や加工費の上乗せ分は評価されず、買った価格の5分の1とか、10分の1とかになってしまったのでは、資産防衛という観点からは使い物になりません。やはり購入した金額に対して、換金した時にそこそこの価値が残らない限り、資産性があるとは言えません。

 

あまり知られていないかもしれませんが、ダイヤモンドには金と同じように相場があります。1967年にユダヤ人のラパポート氏がニューヨークで、ダイヤモンドをその品質ごとにカテゴリー分け、定期的に業者間取引価格を公表するようになり、今や、世界のダイヤモンド取引業者は、この「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」が毎週発表する価格を元にダイヤモンドの取引を行っています。

 

出所:シンワダイヤモンド倶楽部(https://diamond.shinwa-artex.com/asset/)
ダイヤモンドと他投資商品の価格推移 出所:シンワダイヤモンド倶楽部(https://diamond.shinwa-artex.com/asset/)

 

もし、ラパポートが発表する価格を元に、業者が取引する価格に近い相場でダイヤモンドを手に入れられたどうでしょうか? 換金することが容易で、すぐに売却したとしても、5分の1や10分の1になることがないのは明白です。このような、業者間の価格に近い金額で取得して、いざという危機のために資産として所有し、世代から世代へと引き継いでいくことができるダイヤモンド。それが「資産防衛としてのダイヤモンド」なのです。

 

写真のダイヤモンドは、カラット:1.00ct、カラー:E、クオリティ:VVS2、カット:ベリーグッド、販売価格:982,215円(税別、9月15日現在)
資産防衛としてのダイヤモンドの例 写真のダイヤモンドは、カラット:1.00ct、カラー:E、クオリティ:VVS2、カット:ベリーグッド、販売価格:982,215円(税別、9月15日現在)

危機に強い資産としての「ダイヤモンド」

「資産防衛としてのダイヤモンド」は、100年に1度か2度の社会の混乱の際、大きな力を発揮します。たとえば、1923年の関東大震災から、もう100年近く経とうとしています。東京大学地震研究所の川角廣(1904〜72年)所長が「関東大震災69年周期説」を唱えましたが、いまだ関東には大きな地震は起こっておらず、巨大災害は私達の身近に常にリスクとして存在しています。

 

また、戦後の混乱の最中に行われた、旧円から新円への切り替えは、実質的には1年間の預金封鎖となりましたが、その際、資産として所有していたダイヤモンドや絵画を新円に替えて危機を乗り切った経営者の話も数多くあります。

 

現代は、VUCAの時代と言われます。

 

「Volatility(激しい変動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明・曖昧)」の頭文字をとってVUCAというようです。現代は不安定な激動の時代だということです。今の日本にも100年に1度か2度の大激動が起こる可能性が非常に高くなってきています。その時には、紙幣にあまり価値がなくなってしまう可能性があります。

 

また、不動産や株式にも価値が大きく下がるリスクがあります。そのような中で、どこでも換金できるダイヤモンドは大きな力を発揮するのです。金にも大きな価値がありますが、その重さから、金塊そのものを持ち歩くことが非常に難しいという問題点があります。

 

今、この激動の時代だからこそ、危機的な有事に備えて、筆者は資産ポートフォリオの一部に「資産防衛のためのダイヤモンド」を保有することをおすすめしています。

 

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