レントコントロールとは
レントコントロール(Rent controlまたはRent stabilization)とは、借主保護を目的として家賃の不当な上昇を防ぎ、立ち退きにも一定のルールを設ける制度のことです。アメリカではこの制度が広く採用されているのです。たとえばカリフォルニア州では、ロサンゼルス、ビバリーヒルズ、サンタモニカ、ウエストハリウッドの4市が実施しています。レントコントロールが適用される対象はアパートのみで、ショッピングセンターやオフィスビルは対象外です。
ロサンゼルスでは、「1978年以前に建築された建物」と「2戸以上の建物」の2つの条件を満たす場合、賃料上昇の上限は3%と決まっています。また、サンタモニカでは賃料の上限値や正当な立ち退き要求の規定に加え、レントコントロールを伴う戸数の規定なども決められているのです。このように、市によってルールは微妙に異なります。
なお、共通のルールとして、家主は自分や家族が住む目的以外で、テナントの意思に反して立ち退きを要求することができません。また、自分や家族が住む目的でテナントを退去させる場合でも、立ち退き料を払わなければならないのです。
レントコントロールのある地域でアパートを借りれば、借り始めた時期から家賃の変動が少ないため、古くからの借主ほど恩恵を受けることになります。レントコントロールが適用されない地域では、契約更新の際に家主が賃料を大幅に値上げし、家賃が払えなければ解約させるといったケースがあります。レントコントロールは借主保護に大きな役割を果たしているのです。不動産を購入した際に、レントコントロールの対象になっていたら、自由に賃料を上げることができません。そのため、家主は従来の賃料を引き継がなければならないのです。
レントコントロール対象物件の価値
レントコントロールの対象物件は、家賃の値上げに上限や規制があります。アパートの買い手は、安い賃料をそのまま引き継いで購入しなければなりません。そのため、売却を検討しても買い手がなかなか見つからないという事態も発生します。その結果、共同住宅の価値が下がることがあります。
アメリカでは古い物件でも賃料が上がることがある
日本では建物が古くなるにつれ賃料が下がるのが一般的です。しかし、アメリカでは古くなった物件でも賃料が上昇するケースが多くみられます。ロサンゼルスなどのように市場における空室率が低い場合、再契約の際に賃料上昇を家主側から提案することもあります。にもかかわらず、レントコントロールが設定されていると、賃料を上げられません。そのため、古くからの借主のキャッシュフローが改善されないといったことが、家主にとっての悩みの種となっています。