ひとり親世帯が増えるなか、多忙な親に代わって孫の育児や学校行事を支える祖父母は少なくありません。しかし、無償の愛情から注いできた善意が、ある日突然、孫の思いがけない一言で拒まれてしまったら――。成長に伴う子どもの繊細な心理と、家庭内支援の難しさ。よかれと思った行動がすれ違う、家族のあり方を考えます。
「おじいちゃん、もう学校に来ないで…」〈年金月18万円・65歳〉、孫の一言に絶句。態度を一変させた「友だちの無邪気な一言」 ※写真はイメージです/PIXTA

両親離婚…祖父母が孫のためにできること

徹さんは、悠真くんの言葉を妻に伝えました。妻もショックを受けていましたが、「あの子なりに友だちとの関係で悩んでいるんじゃないかしら」と話したそうです。

 

それまで、祖父母が学校行事に参加することを悠真くんが嫌がったことはありません。今年に入り、運動会や地域の祭りなど、学校行事には積極的に参加してきました。悠真くんも嬉しそうにしていました。

 

だからこそ、徹さんには今回の拒絶がこたえました。しかし10歳の子どもにとって、友だちから家庭の事情を聞かれることは、想像以上につらいことなのかもしれません。

 

一方で、徹さんにも複雑な思いがありました。娘が離婚してから、悠真くんに父親がいないことを寂しく思う場面は何度もあったといいます。父親の代わりになれるわけではありません。それでも、学校行事に出席することで、少しでも寂しい思いをさせずに済めばと考えていたのです。

 

その夜、美咲さんにもこの日の出来事を伝えました。ショックを受けつつも、どうしたらいいのか、答えが出ない様子でした。

 

「両親の離婚で一番傷ついているのは悠真だから、今は気持ちを尊重してあげよう」

 

そう伝えると、美咲さんもホッとした表情を浮かべました。

 

厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯における同居親族を含む世帯全員の平均年間収入は373万円であり、母親自身の平均年間収入(272万円)や就労収入(236万円)と比較すると、同居家族の存在が経済的・生活的な大きな支えになっていることが窺えます。また、就業者の中で正規職員は48.8%、パート・アルバイト等が38.8%と、雇用面での課題も残されています。

 

ひとり親家庭において祖父母の協力は非常に力強いサポートです。一方で、成長とともに日々変化する子ども(孫)に対しては心情に寄り添い、適切な距離感や支援のあり方を模索し続けることが重要といえそうです。