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高齢単身世帯の厳しい家計の現実
博さんのように、収入が限られるなかで生活を維持する高齢者にとって、食費は調整しやすい支出の一つです。しかし、食費を減らせば、家計の問題が解決するとは限りません。
厚生労働省『2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯の52.1%が生活を「苦しい」(「大変苦しい」21.0%、「やや苦しい」31.1%)と感じています。また、公的年金を受給する高齢者世帯の41.3%は収入のすべてを年金に頼っており、65歳以上の41.3%で貯蓄が減少、その80.8%が「日常の生活費」を理由に挙げています。
博さんは、食費を切り詰める一方で、体調を崩して医療費が増えることも心配しています。食事をさらに簡素にすれば出費は抑えられるかもしれません。しかし、健康を維持するために必要な食事まで削るわけにはいきません。質素ながらも、栄養面を気にして食事をしているのはそのためです。
「病気にかかったら、あっという間に貯金が尽きてしまう。少なくても蓄えがあるから安心して暮らしていける。心の拠り所がなくなったら大変ですから」
そんな博さんにとって、2ヵ月に一度の年金振込日はお祭りのようなものだといいます。
「振込日の1週間くらい前には、小銭が数えるほどしかありませんから。それはそれはうれしいですよ」
年金振込日には、必ず買って帰るものがあるそう。
「6個入りの卵です。これで好物の月見ソバを6回、楽しめる。この時ばかりは、『あぁ、なんて美味』と心行くまで堪能する。これが今の私の最高の贅沢なんです」
内閣府『令和6年度高齢者の経済生活に関する調査』によると、今後の経済生活で不安に思うこととして「物価が上昇すること」を挙げた高齢者は74.5%、「収入や貯蓄が少ないこと」は47.1%に上ります。また、今後節約したい項目として「食費」を挙げた人は37.8%に達しています。
物価高が続くなか、限られた年金で暮らす高齢者にとって食費の節約は切実な防衛策。健康維持や日々の楽しみを損なわないための支援が求められています。