将来や老後への備えを意識するあまり、日ごろから「お金がない」と口にして家計を引き締める世帯は少なくありません。しかし、過度な節約志向は長い年月を経て思わぬ弊害を生むことも。事例を見ていきましょう。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
「うちは貧乏だから」と息子に言い続けた行く末…年金月23万円の65歳夫婦、孫にもなかなか会えない寂しい老後を送る理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

教育費と老後資金のバランス

文部科学省『令和3年度子供の学習費調査』によると、幼稚園から高等学校卒業までの15年間に必要な学習費総額は、すべて公立に通った場合で約541万円、すべて私立に通った場合は約1,838万円に上ります。さらに日本政策金融公庫『令和3年度教育費負担の実態調査』によると、大学入学から卒業までにかかる1人あたりの在学費用は、国公立大学で約485万円、私立大学文系で約690万円、私立大学理系では約822万円を要します。

 

このように教育費用が高騰するなかで、親が老後破産を回避するために教育費へ上限を設定すること自体は、家計管理として決して間違いではありません。無限に資金を投入した結果、親の老後資金が底をついて生活困窮に陥れば、最終的に子どもへより大きな経済的負担をかけることになります。

 

しかし今回のケースにおける問題の根幹は、家計の負担能力そのものよりも、子どもに対する「説明のあり方」にありました。

 

単に「お金がない」「貧乏だからダメだ」という一方的な拒絶を繰り返すと、サトシさんのように、子どもは理由を理解できないまま不条理な我慢を強いられたと感じてしまうことも。子どもがある程度の年齢になったら、親の価値観や家計の優先順位、出せる資金の限界について客観的な数字をもとに誠実に話し合い、納得感を得ることで、将来的な感情のすれ違いを生防ぐことができたかもしれません。

 

老後資金の確保と教育投資のバランスを図る際は、家庭の経済的枠組みや選択肢の理由について家族とも対話をする必要があるのではないでしょうか。

 

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