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共働き世帯を縛る「ペアローン」という落とし穴
高額なマンションを購入する際、不動産業者や金融機関の窓口から真っ先に提案されがちなのが「ペアローン」です。
住宅価格が高騰しているいま、ぺアローンでなければマンションを買えないというのが現実です。しかし将来的に不動産投資を考えている世帯にとっては、避けるべきでしょう。
ペアローンを組むと、夫と妻の双方の個人信用情報機関に数千万円規模の債務情報が登録されます。これにより、夫婦それぞれの与信枠が同時に自宅の購入だけで減ってしまいます。
夫 年収1,100万円
妻 年収900万円
アパートローンをはじめとする事業性融資の審査において、「本業年収1,000万円超の給与所得者」という属性は、都市銀行や地方銀行から好条件の融資を引き出すための強力な武器です。この貴重な与信枠を居住用不動産で中途半端に使い切ってしまうと、後から単独で事業用融資を申し込んでも、審査の土台にすら乗らなくなります。
名義の切り分けによる与信の最適配分
この課題を回避する方法が、夫と妻で「事業」と「居住」の借入窓口を分離する手法です。
●夫(年収1,100万円):アパートローンを単独で借り入れ
●妻(年収900万円):マイホームの住宅ローンを単独で借り入れ
年収1,100万円の夫名義では住宅ローンを借りず、大きな借り入れのない状態を保ったまま、単独で一棟アパートの融資を申し込みます。これにより、高い属性をフルに活かして融資期間や金利面で優位な条件を確保しやすくなります。
自宅のマイホーム購入については、妻が単独で住宅ローンを借ります。
住宅ローンは事業用融資と異なり、金利水準が低く審査基準も柔軟に設計です。年収900万円で1億円の借入は不可能ですが、自己資金の活用によって、妻の年収で借りられる物件を選びます。
夫の事業用ローンがアパートの家賃収入によって独立して返済・維持されていれば、世帯全体の家計収支を圧迫することなく、マイホームの居住性と収益不動産による資産形成を同時に成功することができます。
1棟目に求められる「金融機関の担保評価」
話はこれで終わりではありません。この仕組みは大きな落とし穴があるのです。
それは、夫が購入した収益アパートが健全な経営状態かどうかが、妻の住宅ローンの審査に影響してくる可能性があるのです。
妻が後から住宅ローンを申し込む際、審査を行う金融機関は世帯全体の健全性を確認するため、夫の確定申告書や借入明細の提出を求められることがあります。住宅ローンの借入で夫の年収を審査から外していることについて、金融機関ではやや疑念を持つためです。
このとき、夫の所有アパートが築古物件などで「不良債務」を抱えている判定がされると、妻単独の住宅ローン審査であっても世帯全体の過剰債務を理由に承認が下りなくなる可能性があります。そのため、夫が経営する物件の内容は重要なのです。
銀行が収益物件を評価する際の基本は、土地の路線価と建物の再調達原価から算出する「積算評価」です。表面利回りの高さだけに目を奪われ、法定耐用年数を大幅に超えた中古木造アパートなどを高値で購入してしまうと、実質的な担保割れ(債務超過状態)と判定されかねません。
1棟目の物件には、以下のような銀行目線で評価の崩れにくい条件が求められます。
●都市部や好立地に位置し、土地の資産価値が担保されていること
●積算評価と実際の購入価格との乖離が可能な限り小さいこと
●空室リスクが低く、家賃収入に対する返済比率に十分なゆとりがあること
目先の利回りよりも「金融機関のバランスシート上で資産として評価されるか」を重視することが、後続の住宅ローン審査を安全に通過させる絶対的な前提となります。1棟目は中古物件ではなく新築物件を購入することが大切です。
契約前の借入計画が資産形成の分岐点
マイホームの購入とアパート経営は、緻密な借入計画を立てることが重要です。
夫婦それぞれの年収や信用力をどの融資枠に割り振るか、そして銀行評価に耐えうる物件をどう見極めるかです。
一度ペアローンを組んでしまったり、担保評価の出ない物件を抱えてしまったりすると、後からベストな融資を引くことは不可能です。マイホームや収益物件の売買契約を結ぶ前に、世帯全体の借入の順番と、今後の展開を綿密に計画する必要があります。

