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年収が高くなるほど「手残り」が減る、日本の累進課税の構造
年収が1,000万円、3,000万円、5,000万円とステップアップするごとに所得税の税率は跳ね上がります。下記表1の通り、住民税の10%を含むと最高税率は55%にのぼり、収入の半分近くを税金だけで支払う必要に迫られるのが現実です。
本業が多忙なサラリーマンや医師、経営者にとって、「個人名義で普通に稼ぐ」だけでは、資産拡大のスピードが税金によって著しく阻害されると言わざるを得ません。
ペルソナ別:税理士が解き明かす「3つの年収レンジ」の課題と対策
累進課税制度の下では、年収のフェーズごとに直面する壁や有効な税務戦略が根本から異なります。ここからは1,000万円、3,000万円、5,000万円の3つの年収レンジ別に、課題と具体的な対策をみていきます。
【年収1,000万円層】
最高税率は30%〜33%程度であり、実質の税率も15%程度であることを考慮すると、プライベートカンパニー等の法人化は、実質的な節税効果よりも、設立・維持コストのほうが上回る可能性が高いといえます。
不動産投資の戦略としては、会社員としての強固な「与信」を活かして融資を引き、長期的な「キャッシュフロー(手残り)」を構築して純資産を増やすことを優先すべきフェーズといえるでしょう。
【年収3,000万円層】
最高税率は50%のゾーンです。個人の所得にこれ以上の家賃収入(不動産所得)をそのまま上乗せすると、手残りの半分を納税で失うことになりかねません。働き損のような感覚を持つ人も少なくないでしょう。
不動産投資にあたり、個人名義での取得から「資産管理法人の設立」を本格的に検討するフェーズ。法人を活用して所得分散する対策が有効です。
また、個人で所有する場合は、中古物件のような「数年で減価償却ができ、数年間不動産所得の損失を給与所得と相殺できる」物件に目が行きがちですが、裏を返すと「数年で減価償却が切れて黒字化する」物件ともいえます。黒字化後は急に所得が増加するため、出口戦略を誤ると、税率もさらに跳ね上がるリスクが存在します。
そのリスクを避け、法定耐用年数が長めに残る物件(木造新築物件の22年など)を選んで、なだらかに償却費を計上して個人の税負担を長期平準化する選択肢もあります。平準化されていれば、市況にあわせて売却タイミングも自由に選択しやすいという視点は重要です。
【年収5,000万円層】
最高税率55%が適用される超富裕層となると、個人でできるあらゆる所得税対策(ふるさと納税等)は「焼け石に水」といっても過言ではないでしょう。
不動産投資を行う場合、資産管理法人の活用による所得分散(親族への専従者給与等)や、法人実効税率(約30%前後)と個人所得の最高税率の差額を最大活用するべきでしょう。さらに、この水準の資産家は「将来の相続税・贈与税」も見据える必要があります。
不動産は、現預金や上場株式等と比較して、資産の「相続税評価額」を大幅に下げることができます。物件の場所や種類、賃貸状況等にもよりますが、5割~8割程の評価額になることが一般的です。この相続税評価額は個人でも法人でもおおむね変わらないため、資産管理法人を活用して、不動産を購入・運用するという方法が現実的です。
税務を最適化させるための「物件の性質」と「パートナー」の選び方
不動産投資を税金対策や資産形成に活かすためには、「個人の現在の所得」と「将来の事業シミュレーション(減価償却の推移)」が完全に噛み合っている必要があります。
そのためには、一時的な「短期の赤字(損益通算)」だけが強調されている物件には、気を付けるべきです。そういった物件は、少なくとも出口戦略までを含めて納得できる内容でなければ、慎重になることをお勧めします。高年収で収入の基盤が厚い方にとっては、短期的でハイリスクな物件よりは、所得やリスクが長期的に平準化されやすい新築物件等のほうが望ましいのではないか、と私は思います。
年収レンジと将来の資産規模をふまえた上で、法人設立のタイミングから、積算評価(資産価値)が出やすく長期的な償却コントロールを組み込める優良物件の提案、そして長期的な税務・管理サポートまでを一貫してナビゲートできる信頼性の高いプロフェッショナルな会社をパートナーに据える、もしくは自分が不動産の専門家よりも詳しくなることが、資産を守り抜く極意といえます。


