年齢とともにケガや病気のリスクは高まります。リタイア生活がはじまり医療費や生活費が不安なとき、手厚い保障や資産運用を謳う保険を勧められると、つい加入したくなるものです。しかし、保険のなかには「60代からの加入にはまったく向かないもの」もあります。長岡FP事務所代表の長岡理知氏は、その代表例が「変額保険」といいます。今回は、定年退職時に勧誘された加入し、数年後に頭を抱えることになった65歳男性の事例を見ていきましょう。※個人の特定を防ぐため、事例は一部脚色しています。
こんな保険、入らなきゃよかった…年金18万円・退職金2,500万円の68歳夫が大後悔した、「変額保険」の契約。きっかけは「都内高級ホテル・紅茶とケーキ付き無料セミナー」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

変額保険とは、どんな保険なのか?

変額保険とは、保険料の一部を株式や債券で運用し、その実績によって満期保険金や解約返戻金が増減する仕組みの保険です。死亡保険金には最低保証がある一方、満期金や解約金には保証がなく、運用実績次第では元本を大きく割り込むことがあります。保険業法第300条の2に基づき規定されている、元本欠損リスクの高い「特定保険契約」です。

 

もちろん、変額保険そのものが悪い商品というわけではありません。たとえば、20代30代で子どもが生まれたばかりの人なら、死亡保障が必要な時期ですし、保障にかかる費用も小さく済みます。運用面でも相場が下がっても回復を待つ時間の余裕があります。長期的な運用によって、ある程度元本欠損リスクも受け入れやすくなるでしょう。「安く死亡保障を持ち、仕組み的には掛け捨てではなく、払い込んだ保険料の合計よりも解約返戻金が多くなる可能性もある」という点では魅力的です。

 

一方で見落としやすいのが手数料です。保険料からは、死亡保障の費用や保険会社の運営費、運用の費用が毎月差し引かれます。運用実績が年0%だとしても、戻ってくるお金は払った額を大きく下回ります。

加入から3年後、担当者へ連絡してみると…

保険会社から届いた手紙を見て驚いたTさん、次の日に担当者の携帯電話にかけました。しかしその電話はもう使われていませんでした。

 

名刺に書かれていた保険代理店にかけ直すと、「その者はすでに退職しております」と告げられます。いまどこにいるのかは個人情報ということで教えてもらえません。「置き場所を変えるだけ」といった本人に、なぜ株高のいま解約返戻金が減っているのか説明してほしかったのですが、無理のようです。

 

保険会社のコールセンターに電話したところ、丁寧に変額保険の仕組みを説明されました。毎月の掛け金のすべてが運用に回っているわけではないこと、さらに手数料も差し引かれているため、契約から数年間は運用実績が高くても多くの場合、解約返戻金は払込保険料よりも大きく下回ること、などです。

 

「聞いてない」といいかけましたが、この説明を担当者が行い、保険会社からTさんに電話確認もしているといわれ、Tさんは黙って電話を切りました。

 

「たしか会話も録音されていたはずだ。約款も読まずに契約した自分のせいになるに決まっている……」