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孫の笑顔を願った500万円の大改修と、想定外の誤算
東京郊外に持ち家を構える山内稔さん(65歳・仮名)。長年勤めた企業を定年退職し、現在は月額18万円の公的年金を受給しながら、約2,000万円の老後資金を取り崩して生活しています。
山内さんには、車で30分ほどの場所に住む息子家族がいました。妻と小学生、未就学児の2人の子どもがいます。週末になると遊びに来る孫たちの姿を見ることが、退職後の生活における最大の楽しみでした。
「もっと孫が喜んで滞在できる場所にしたい」
そう考えた山内さんは、自宅の庭を全面的にリフォームすることを決意します。提示された見積り金額は約500万円。老後資金の約4分の1に相当する大金でしたが、孫の笑顔には代えられないと契約を結びました。
完成した庭は、子ども(孫)の遊び場として充実した設備を備えていました。水に強く掃除が容易な広々としたタイルテラスには、開閉式シェード付きの屋根を設置しました。夏のプール遊びでも直射日光を遮り、熱中症を予防できる構造です。敷地内には転んでも痛くないクッション性の高い高級人工芝を敷き詰め、遊んだ後に体を洗えるよう、お湯が出るガーデンシャワーも新設しました。
さらに、デッキの床面をくり抜いたビルトイン砂場、ブランコやハンモックを吊るせる強固なアウトリガー、壁面にお絵描きができる黒板ウォールまで整えました。夜間には照明が点灯し、耐火性ストーンテラスでのバーベキューやプチキャンプが楽しめる仕様です。
リフォーム直後、孫たちは大喜びで庭を駆け回りました。しかし、その賑わいは長く続きませんでした。
国土交通省の『令和6年度 住宅市場動向調査』によると、リフォーム実施世帯の平均リフォーム資金は154万円(自己資金比率85.5%)。また、リフォームを行う動機としては「住宅がいたんだり汚れたりしていた」(32.1%)や「家を長持ちさせるため」(21.7%)といった維持修繕が主流を占めており、「さしあたり不満はなかったがよい住宅にしたかった」は14.5%にとどまります。
世帯主の約半数(48.2%)を60歳以上が占めるなか、平均額を大きく上回る500万円もの老後資金を嗜好性の高い改修に費やすことは、将来的なリスクを伴う選択だったと言えます。