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部下から渡された缶コーヒーとプライドの崩壊
退社時刻を迎えた際、高橋さんが佐藤さんのデスクに近づいてきました。手には温かい缶コーヒーが握られています。「佐藤さん、お疲れ様です。最近はお忙しそうですね。もう無理なさらないでください。細かい数値の最終確認は僕が引き受けますから」と高橋さんは告げ、缶コーヒーをデスクの脇に置きました。
その言葉を聞いた佐藤さんは、大きなショックを受けます。かつて仕事を1から教え込んだ若手から庇われ、気遣われたという事実に直面したためです。
長年培ってきた専門職としてのプライドは大きく揺らぎました。佐藤さんは「守る側」から「守られる側」へと立場が逆転した現実を痛感し、自宅に戻った後も悲しさと悔しさで思い悩むことになります。
パーソル総合研究所『シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査』によると、シニア社員が職場で良好な人間関係を築き活躍するためには、「自身の現在の能力を客観的に把握し、過去の経験に固執しないこと」や、「若手や年下の上司からの指摘・アドバイスを柔軟に受け入れる変化適応力」が極めて重要であると示されています。
1晩思案した末に、佐藤さんは考えを改めました。高橋さんの行動は自分を軽んじるものではなく、純粋な敬意とサポートの意思によるものだと捉え直したのです。自身で業務を完結させるこれまでの仕事のやり方を見直し、若手である高橋さんのサポートを素直に受け入れることにしました。
翌朝、佐藤さんは高橋さんのデスクへ出向き、「昨日はフォローしてくれて助かった。ありがとう」と直接感謝を伝えました。自身の衰えを素直に認め、若手の支援を好意的に受け入れた佐藤さんの対応は、部署全体のコミュニケーションをより円滑に変化させたといいます。
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