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金利上昇と役職定年がもたらした家計の激変
大手メーカーに勤務する高橋勝利(58歳・仮名)さんは、パート勤務の妻・高橋里美(55歳・仮名)さんと二人暮らしです。世帯年収は1,200万円(勝利さん950万円、里美さん250万円)。これまでは不自由のない生活を送っていました。
10年前、48歳だった勝利さんは都内に7,000万円の戸建て住宅を購入しました。自己資金2,500万円を頭金とし、残りの4,500万円を70歳で完済する22年ローンを組みました。当時は低金利環境であったため、当初10年間の金利が固定される「10年固定金利選択型」を選択しました。借入当初の毎月の返済額は約18万円であり、定年までに退職金などで完済できる見込みでした。
しかし、10年間の特約期間が終了する58歳の年、状況が一変しました。金融政策の転換に伴う基準金利の引き上げにより、適用金利が上昇しました。同時に、55歳で迎えた役職定年によって勝利さんの基本給が減額され、手取り収入が減少しました。金利の見直しに伴い月々の返済額は約18万円から約22万円へと約4万円増額され、年間で約48万円の負担増となりました。収入減少と固定費増大のダブルパンチは、定年目前の勝利さんを追い詰めました。
住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)』によると、変動型や固定期間選択型ローンを利用する人のうち、将来の金利上昇に伴う返済額の増加や優遇金利の適用ルールについて「理解に不安がある・よく理解していない」などと回答した割合は42.6%〜55.6%にのぼります。
特に固定期間選択型などを利用している場合、特約期間終了後の優遇幅縮小や金利上昇による急激な返済増リスクを事前に見落としている利用者は少なくありません。
同調査では、仮に毎月の返済額が3万円増加した場合に「返済継続できる」と答えた世帯は24.2%にとどまり、繰上返済や借換えの検討を余儀なくされるか、「見当がつかない」と困惑する回答が大多数を占めています。
焦りを深めた勝利さんは、里美さんに対して節約を強く求めました。食費や日用品費の切り詰め、娯楽の制限などを一方的に指示しました。しかし、物価高が続くなかでの節約には限界があり、里美さんからの訴えに対し、勝利さんは苛立ちを募らせていきました。