(※写真はイメージです/PIXTA)
娘からの思わぬ提案
夏のバタバタも終わり、少し過ごしやすくなってきたある日、娘さんからAさんに電話がかかってきました。
「いま、物価高で大変よね。実は我が家も大変でさ。夫の会社も原油高の影響で冬のボーナスもあまり期待できないから、シルバーウィークの帰省は諦めようかと思っているの」
たしかに来る側も、交通費やらお土産代やらでお金がかかります。それでも両親の顔は見たいからと、娘が提案してきたのは「お互いの家の中間地点で、折半で食事会をしないか」というアイデアでした。これを聞いたAさんは内心大喜び。とてもいい提案だと思い、息子夫婦にも次の帰省は中間地点での食事会にしないかと打診してみました。
すると息子も、大きな被害こそなかったとはいえ、今年の夏のゲリラ豪雨の経験から「そうだね。遠出で家を長く空けるのは不安だったんだ。日帰りの食事会はいいね」と快諾してくれたのです。
帰省にかかるお金
お墓参りなどの事情がある家庭も多いので、Aさんのように「中間地点での食事会だけ」で済ませることが難しいケースもあるでしょう。ですが、今年の夏のように地震やゲリラ豪雨が多かったり、厳しい物価高も続いたりで、帰省に負担を感じている人も増えています。また口には出さなくても、Aさんのように迎える側の家事や金銭面の負担に悩む高齢者も少なくありません。
もし、双方が無理をしているのであれば、それぞれの家庭にとって“負担のない帰省”スタイルを考えてみるのもいいでしょう。ここで改めて、帰省には一体どれくらいのお金がかかるのか、FPの視点から整理してみました。
1.子ども側が負担する帰省費用
子育て世帯が帰省する際、一番大きい出費となるのが交通費です。遠方だと、親子3人の往復だけでも5万円は超えてしまうでしょうし、空港までの移動などを含めると10万円近くに。新幹線でも、家族で往復すると、数万円〜10万円規模になってしまいます。ほかにも、
・実家や親戚へのお土産代
・滞在中の外食やレジャー費用
・職場や友達へのお土産代
といった費用も上乗せされます。これらを少しでも節約するためには、次のような工夫が考えられます。
・LCCや早割、新幹線の早期割引/往復割引を使う
・繁忙期を外した日程にずらす
・宿泊日数を短くし、滞在中の外食やレジャーを削る
2.迎える親側が負担する帰省費用
女性誌のハルメクが、「夏の子ども世帯の帰省にまつわる親子の経済事情」に関するアンケート調査を実施しています。これによると「子世帯の1回の帰省時に親世帯が負担する金額」は以下のとおりです。
・1万円未満:22.9%
・1万円以上~3万円未満:39.8%
・3万円以上~5万円未満:19.3%
・5万円以上~7万円未満:4.8%
・7万円以上~10万円未満:4.8%
・10万円以上:8.4%
約4割の家庭が1万〜3万円を負担しており、3万円以上負担している家庭も全体の3割強に上ります。食事代や孫へのお小遣いなど、迎える側の経済的負担も決して小さくありません。
老後の生活は、年齢を重ねるほど病気や介護のリスクが高くなり、出費も増えてきます。病気や介護のリスクは「終わりが見えず、費用もどれだけかかるかわからない」ところです。元気なうちは生活に余裕があっても将来はわかりません。帰省をはじめ、出費が多く感じるところは見直してみましょう。
帰省は家族の大切な時間ですが、負担を抱えたままでは続きません。それぞれの家庭に合った“無理のない帰省スタイル”を見つけることが、これからの時代の新しい家族の形なのかもしれません。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表
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