「家族だから助け合える」と始めた親と同居する暮らしにおいて、世代間の「お金の使い方や生活に対する価値観のズレ」が修羅場を招くケースも……。Aさんの事例をご紹介します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
「お義父さんは、黙っていて!」お歳暮命、高級車を乗り回す同居中の〈年金月17万円・69歳義父〉、普段静かな37歳嫁がブチギレた理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

妻を亡くした69歳義父と息子家族の「実家同居」

Aさん(69歳)は、2年前に妻を亡くして以来、月17万円の年金を受け取りながら一人暮らしを送っていました。そんなAさんを心配した息子夫婦(息子38歳、嫁37歳)が、Aさんの住まいを一部リフォームしたうえで同居を始めます。息子夫婦には小学1年生の子どもがいて、もともと借りていたマンションは少し手狭だったこともあり、「実家のほうが子育てしやすい環境だしね」という利害も一致しての同居となりました。

 

最初は互いに遠慮がありましたが、毎日顔を合わせる暮らしのなかで、少しずつ本音も出やすくなっていきます。妻との二人暮らしが長かったAさんは、若い世代との生活の違いが気になって仕方ありません。長年住んできた自分の持ち家という意識もあり、いろいろと目につくのです。

 

ある夏の休日、Aさんが散歩から戻ると、居間のエアコンがつけっぱなしでした。そこへ、買い物帰りの嫁と子どもが入ってきます。

 

「エアコン、つけっぱなしじゃないか。もったいないな」

 

Aさんがそういうと、嫁は「30分くらいなら、こまめに切るよりつけておいたほうが効率がいいんです」とさらりと返しました。「そうはいっても、つけっぱなしは気になるな」とAさんが呟くと、嫁はなにも言い返さず、黙り込みます。Aさんは気づきませんでしたが、その一言は嫁の中に小さく残ったのです。

 

さらに、洗濯機が故障したときのこと。息子夫婦は「毎日使うものだから少し値は張っても」と、ドラム式の最新型に買い替えました。これにもAさんは驚きを隠せません。「いまの洗濯機は、こんなに高いのか。修理すれば、まだ使えたんじゃないのか」。

 

息子は妻をかばうように「静かだし、乾燥機能も優秀なんだよ。大きな毛布も洗えるしね」と慌ててメリットを説明しました。

 

息子夫婦の買い物には口を出してしまうAさんですが、自身はいわゆるバブル世代らしいお金の使い方をしてきた人です。高級車に乗り、お歳暮や贈り物にはきちんとお金をかけるタイプ。Aさんにとっては、「見た目のよさ」や「人との付き合いを大切にする」ことも暮らしの一部でした。しかしそうした価値観は、息子夫婦の目には、少し派手でどこか“見栄っ張り”に映っていたのかもしれません。

 

普段、二言目の反論はしない嫁の逆鱗に触れたワケ

すれ違いが続くなか、夏休みのある日に事件が起こります。孫が階段で足を滑らせ、転落してしまったのです。

 

嫁はすぐに駆け寄り、大泣きしている息子の様子を確認します。頭を打ったかもしれないと、不安がよぎる嫁に対し、大したことはないと感じたAさんは、つい口を挟みます。

 

「家の中ばかりで遊んでいるから、体がなまるんだよ。夏休みは、子どもは外で友達と遊ぶものだろう」。その言葉に、嫁はこれまで抑えていたものが一気に溢れてしまったようです。

 

「お義父さんは、黙っていてください! いまはこの子のことが先です!」。そういって、嫁は急いで病院へと向かいました。

 

幸い孫は大事に至らず、軽い捻挫程度で済みました。それでも、普段は静かだった嫁が本気で声を荒らげたことで、Aさんもさすがに思うところがあったといいます。そしてふと、生前に亡くなった妻からいわれたことを思い出しました。

 

「あなたは家の中にうるさすぎるのよ。私はこれでも我慢しているのよ」

 

いま家を仕切り、生活を回しているのは息子夫婦なのだと実感したAさん。「これからは口出しを控えよう」と、心の中でそっと決めたのでした。