(※写真はイメージです/PIXTA)
公務員だった父、教師の長男、深夜バイトの次男
元公務員だったAさん(70歳)は、定年退職後にアパート経営を始めており、年金月28万円とアパート収入月40万円とで、妻(65歳)とともに悠々自適の生活を送っていました。Aさん夫婦には2人の息子がいます。長男(40歳)は中学校の教師をしており、10年前に結婚を機に自分で戸建てを建築し、離れた場所で暮らしています。
厳格だったAさんは家庭内でも絶対的な存在で、妻や息子たちは父親には意見すらいえないような家族関係でした。長男はAさんにとって自慢の息子に育ちましたが、次男(現在32歳)はもともと小心者で、子どものころにいじめに遭った影響もあり、口数の少ない大人しい性格でした。
学業の成績もあまり振るわなかった次男に対し、Aさんは無理に私立大学へ進学させました。しかし、当時好きだった女の子にショックな言葉を掛けられたことが引き金となったようで、引きこもりがちに。結果として、単位不足で大学を中退してしまったのです。
長男が家を出たあとは、家族3人での暮らしになりましたが、Aさんはなにかにつけて次男を長男と比較し、夕食の席などでも厳しい叱責を繰り返しました。母親は次男をかばいましたが、Aさんがさらに激高するため、次第になにもいえなくなっていきます。父親とできるだけ顔を合わせたくない次男は、ほとんど自室から出なくなり、アルバイトの勤務帯も深夜のコンビニへと切り替えました。
30歳の誕生日会で、実家を追い出された次男
2年前、次男が30歳になった誕生日のこと。
母親は、ケーキを買ってきたり手料理を作ったりして息子の30歳の節目を家族3人で祝おうと準備しました。空気の悪い家族間をなんとか和ませようとした母親の心遣いです。しかし、この場でもAさんの次男に対する不満は爆発します。
「30歳にもなるのに、いまだにアルバイト暮らしだ。結婚はどうするんだ。兄貴は子どもも2人いて、家族をしっかり守っているじゃないか。男のくせにこのままでいいのか!」
せっかくの誕生日会も台無しです。その間、無表情のまま父親に言われっぱなしの次男の異変に両親は気が付いてあげることができませんでした。怒りの収まらないAさんは、「お前の顔なんか見たくない! アパートに空き部屋があるからそこに移れ!」と言い放ち、とうとう次男を追い出してしまいました。