シルバーウィークに長男一家が帰省するのを楽しみにしていた、年金月25万円で暮らす70代夫婦。ところが今年は突然「行けない」との連絡が届きます。気になった女性が長男に理由を聞いても、返ってきたのは曖昧な答えだけ。そこで長男の妻に連絡すると、思いがけない事情が明らかになりました。総務省「家計調査」によると、年収1,000万~1,250万円の勤労者世帯でも、月の消費支出は約44万円、税・社会保険料などの非消費支出は約18万円。ある家族の事例から、親子・きょうだい間で曖昧になりがちな「誰がお金を負担するのか」を考えます。
今年は行けません…〈世帯年収1,200万円〉長男一家がシルバーウィークの帰省を拒否。「一体なぜ?」70代母が聞かされた〈たかり体質の長女一家〉の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

予約したレストランまで変更…「気づけば義姉中心の会に」

ある年、アヤさんはトミコさんの誕生日のために、少し高めのレストランを予約していました。

 

「お義母さんが好きそうなお店を夫と探して、せっかくだからちゃんとお祝いしようと思っていたんです」

 

ところが、長女一家も参加することになると、長女から、

 

「子どもたちもいるんだから、もっと安いところでいいんじゃない?」

と言われました。

 

さらに、

「うちの子たち、こういう料理あんまり食べないから」

と店の変更を求められ、アヤさんが予約していた店はキャンセル。

 

結局、長女の子どもたちが食べたいものを優先した店に行くことになりました。

 

「最初はお義母さんのお誕生日会だったはずなのに、気がついたらお義姉さん一家中心になってしまっていて……」

 

トミコさんは、そんなふうに感じさせていたことすら知りませんでした。それでも、家族なのだから多少は仕方がない。

 

アヤさんも最初はそう考えていたといいます。

 

しかし、もっと納得できないことがありました。

 

「お義姉さん一家の分も、ずっと私たちが払っています」

アヤさんは続けました。

 

「それに、お会計もずっと私たちなんです」

 

トミコさんは驚きました。

 

「えっ? 何が?」

 

「お義姉さん一家の分もです」

 

トミコさん夫婦の食事代を長男が出してくれていることは知っていました。

 

しかし、長女一家4人分まで長男夫婦が支払っているとは、まったく知らなかったのです。

 

長男一家4人、トミコさん夫婦、長女一家4人。全員がそろえば10人になります。仮に1人3,000円の食事でも、1回の会計は3万円です。少し良いレストランなら、それ以上になるでしょう。

 

総務省「家計調査」によると、2025年の二人以上の世帯における「外食」への支出は、1世帯あたり月平均1万7,963円。前年と比べても実質で増加しています。

 

コロナ禍で落ち込んだ外食支出は、その後持ち直す動きが続いており、家族での外食も以前より負担を感じやすくなっているといえます。

 

しかも、長女は会計時に、

「今日はお母さんのお祝いだもんね。ごちそうさま」

というだけで、自分たちの分を払おうとする様子もほとんどなかったといいます。

 

アヤさんは言いました。

 

「うちが払えないわけじゃないんです。でも、払えることと、毎回払うのが当然になることは違うと思うんです」

 

そして、少し間を置いてこう続けました。

 

「それに、お義母さんとは好きなお店やレストランの趣味も似ていますよね。1年に1回くらい、お義母さんとお気に入りの場所でゆっくり食事をするのが、私も楽しみだったんです。でも、お義姉さんが入ってくるようになってから、その時間までなくなってしまったようで、ちょっと悲しくて」

 

トミコさんは、思わず言葉に詰まりました。

「今年もお義姉さんが来るなら、私たちはずらそう」

そして今年。

 

トミコさんは何気なく、

「お姉ちゃんたちもシルバーウィークに来るって」

と長男に伝えていました。

 

その日の夜、アヤさんは夫に話したそうです。

「今年も同じなら、私たちは時期をずらさない?」

 

長男も、

「そうしようか」

と答えました。

 

「せっかくお母さんの誕生日を祝うなら、自分たちだけでゆっくり食事したい」

 

そうして長男一家は、シルバーウィークの帰省そのものをやめることにしたのです。

 

アヤさんはトミコさんにこう話しました。

 

「お義母さんには本当に会いたいんです。ただ、お義姉さん一家も来て、また私たちが全部出すのかと思うと……正直、嫌になってしまって」

 

その言葉に、トミコさんは申し訳なさでいっぱいになりました。

 

「それは当然だわ。私たちも気づかずごめんなさい。それに、お姉ちゃんのことも本当に申し訳ない」