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52歳サラリーマン、妻のひ通の一言で決断
「このままずっと東京にいるの?」
長谷川恒一さん(52歳・仮名)が地方移住を考えるきっかけになったのは、妻の何気ない一言でした。
長谷川さんは東京都内の住宅設備関連会社で20年以上、営業として働いてきました。前職も含めると、営業職30年のベテランです。月収は約55万円。年収は700万円台後半です。夫婦2人で暮らすには十分な収入でした。
妻も東京での生活を嫌っていたわけではありません。
買い物には困らない。
病院も多い。
友人もいる。
それでも50歳を過ぎたころから、地方出身の妻は今後の暮らし方について考えるようになったといいます。
「両親は70代後半。親の近くにいたい、という気持ちはありました。でも、それだけじゃないんです」
妻は長谷川さんに、こう話したといいます。
「あなた、ずっと仕事ばかりじゃない。55万円もらっているのはありがたい。でも、その生活を続けるために、これからもずっと今と同じ働き方をするの?」
平日、疲れ果てている姿を見て、ただただ心配だったのです。長谷川さんはすぐに答えられませんでした。
朝から晩まで働き、営業成績を追う。その働き方を続けることで、東京での生活は成り立っていました。
一方、東京に住み続けること自体が目的だったのかと問われると、そうとも言い切れません。
「子どももいません。東京を離れられない理由が、実はなかったんです」
ただ、妻も長年、移住したいと言い出せなかったそうです。
夫には30年かけて築いたキャリアがある。それを自分の希望で手放させることになるかもしれない。
「私が地元に帰りたいなんて言ったら、主人の仕事を壊すことになると思っていました」
それでも妻は、「親が元気なうちに、もう一度地元で暮らしたい」と考えるようになりました。
夫婦は話し合い、移住を決めました。
ただし、東京での仕事を辞めれば、長谷川さんの収入がどうなるかはわかりません。
移住先で、これまでと同じ住宅設備関連の営業職を探しました。月収は多少減っても、50万円はキープしたい……しかし、長谷川さんのキャリアをそのまま生かせる仕事は見つかりませんでした。
「地方には仕事がないと思いました。でも、実際には違ったんです。『自分は営業マンだ』『キャリアにふさわしい収入も得たい』と思って探していたから、仕事がなかっただけでした」