定年後の「セカンドライフ」として人気を集める地方移住や田舎暮らし。豊かな自然環境や悠々自適な生活に魅力を感じる一方で、年齢を重ねるにつれて移住当初は見落とされがちなリスクに直面することも……。事例を見ていきましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。
たすけて!地方移住先で暮らす年金月24万円・80歳両親から緊急電話…51歳長女が新幹線で急行、目撃した「とんでもない光景」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期の「地方移住」に潜むリスク

国土交通省「令和5年度 高齢社会基本意識調査(高齢期の住み替えについて)」によると、高齢期における住み替え先に求める条件として、買い物や医療機関へのアクセスのよさが非常に高く重視されています。

 

移住当初には魅力的で解放感にあふれて見えた「静かで自然豊かな環境」も、年齢を重ねて身体機能や運転能力が低下するにつれ、買い出しや通院が困難になるという重大な「不便さ」へと変化します。移住を検討する際は、80代以降に車に乗れなくなった場合でも生活が成り立つインフラがあるかを事前に確認することが不可欠です。

 

また、「年金月24万円あれば地方なら余裕」という油断も落とし穴となりました。総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得約22.2万円に対し、消費支出は約26.4万円となっており、平均で毎月約4.2万円の不足が生じる計算になります。

 

トシヤさん夫婦の場合、年金額自体は平均より高め(月24万円)であったものの、地方特有の自家用車関連費用(ガソリン代・車検・保険等)や、戸建て住宅の突発的な修繕費用が重なったことで、計画以上に貯蓄を取り崩すこととなりました。

 

こうした地方移住の失敗を防ぎ、老後を安全に過ごすためには、健康な「60代・70代の視点」ではなく、車に乗れなくなる「80代以降の生活導線」を逆算して移住先を選ぶ視点が欠かせません。徒歩圏内にスーパーやクリニックがあるか、コミュニティバスなどの公共交通機関が機能しているかなど、将来的な利便性を事前に確かめておく必要があります。

 

また、資金面においても、日々の生活費とは別に戸建て住宅の維持・修繕のための特別予算を確保しておくことが重要です。さらに、親が遠方に移住している場合、子世代は定期的な連絡を取り合うだけでなく、移住先の地域包括支援センターや民生委員といった公的支援窓口と事前につながりを持っておくことで、いざというときのリスクを大きく軽減することができます。

 

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