「お盆が終わっても、娘と孫が帰らない……」。そこには現代の親子間が抱える問題が潜んでいました。ある親子の事例から、世代間の金銭問題と、適切な向き合い方を考えます。
「いつまでいるんだろう…」お盆帰省の38歳次女と2人の孫。滞在3週間目に知る〈衝撃事実〉に〈年金月28万円・60代夫婦〉絶句 ※写真はイメージです/PIXTA

家族だから助けたい…しかし、無制限の援助は難しい

「なぜ、こんなに大切なこと、ちゃんと言わない」

 

困っている娘を助けたいという思いは、親として当然あります。ただ、何も言わず、子どもたちに「ここにいたい」と言わせるのは無責任だと感じ、洋子さんは怒りを抑えられなかったといいます。

 

クールダウンするのに時間が必要でした。そして怒りが収まったあとは、現実的な問題に直面します。お金の問題です。現在、佐々木さん夫婦は月35万円(手取り)の収入があります。しかし、和夫さんは働いても70歳になる前まで、と考えています。収入が年金だけになると(手取りで)月24万円になります。

 

貯蓄は1,800万円ほどあります。しかし、これから病院に行く機会も増えるだろうし、介護が必要になるかもしれない。施設に入らないとならない――そのようなことも考えられます。かわいい孫のためだからといって、無制限にお金が使えるわけではありません。だからこそ、佐々木さん夫婦は曖昧にはしませんでした。

 

ここに住み続けるなら、家賃相当額として月5万円を入れてもらう。食費や光熱費も負担する。そして、半年以内に自分たちの住まいを確保する。さらに美穂さんには、勤務先への相談や転職、自治体のひとり親向け支援制度なども含め、生活を立て直す方法を探してもらうことにしました。

 

「孫も大きくなると、ここ(佐々木さん夫婦の自宅)は狭くなるでしょう。ずっとここにいるのは現実的ではないんです。家族だから助けるのは当然ですが、負担できる範囲は明確にしておかないと、お互いのためによくないと思ったんです」

 

それでも、洋子さんには気になることが残っています。

 

「もっと早く、娘の生活が苦しいことに気づいてあげればよかった。言いにくかったと娘は言っていますが、それは私たちにも責任があると思うんです」

 

内閣府『高齢者の経済生活に関する調査(令和6年度)』によると、お金に困った際の相談相手に「家族・親族」を挙げる高齢者は61.7%に上る一方、「誰にも相談しない」が19.6%、「相談相手はいない」も14.5%存在します。また、同府『高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(令和3年度)』では、家族内で「家族・親族の相談相手になっている」と回答した高齢者は29.4%に留まります。

 

身内であっても、生活の困窮は打ち明けにくいもの。だからこそ、日頃から親子間でお金や生活について気軽に話し合える、オープンなコミュニケーションと関係づくりが重要です。