(※写真はイメージです/PIXTA)
夢の海外駐在、内示先は「インド」
真面目で努力家な性格のミツキさん(仮名/27歳)は、学生時代から強い海外志望を抱いていました。大学院を卒業後、グローバル企業の設計士として就職したものの、コロナ禍の余波もあり、ヨーロッパ圏への短期出張はあるものの、念願の長期駐在のチャンスを得られずにいました。
状況が変わったのは27歳のとき。キャリアアップを狙って転職を果たした先で、念願だった海外駐在の内示が出たのです。しかし、提示された赴任先はまさかの「インド」でした。
「インド!?」と思わず声を上げたミツキさん。社内でも女性のインド駐在員は前例として2人のみと、非常に少なく、衛生面や治安面、宗教面での不安が頭をよぎりました。
さらに、少し悲しくなったのは家族の反応です。長年、日系の大手企業に勤める父からは「最近は中東情勢も悪いし、女性1人で大丈夫なのか?」と懸念され、専業主婦の母からも「ママも心配。それに、女の子が駐在なんてして結婚するチャンスはあるのかしら」と難色を示されてしまったのです。
念願の海外駐在がようやく叶ったのに、ミツキさん自身も不安ななか、一番に応援してほしい家族から背中を押してもらえない――。ミツキさんは思い悩んでしまいました。
88歳の祖母から届いた手紙
そんなミツキさんの心を救ったのは、88歳になる祖母でした。元高校教師だった祖母は、戦後の日本で女性として働きながらキャリアを重ねてきた人です。ミツキさんの父から孫娘のインド駐在の話を聞いた祖母は、達筆な文字で一通の手紙を寄せてくれました。
『ミツキちゃん、これからは女性もどんどん出世する時代です。27年生きてきた知恵を絞って、自分の身を守りながら頑張ってください。遠くから見守っています』
戦後の厳しい時代を女性として力強く生き抜いてきた祖母からの、温かく気高きエール。手紙を読み進めるうちに、ミツキさんの目からはボロボロと涙が溢れ出しました。
「自分を信じて挑戦していいんだ」と覚悟が決まったミツキさん。その姿を見た父も意識が変わったのか、「インドなんて一生行く機会がないと思っていたけれど、いいきっかけだね。ママと2人で遊びにいくよ」と、いまでは笑顔で赴任準備を応援してくれています。