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年金16万円、住宅ローンは月9万円超…当初は問題なかった
「あと800万円くらい残っています」
70歳の高橋隆さん(仮名)は、自宅の住宅ローンについてこう話します。
30年前に購入した一戸建て。65歳で定年退職した時点でも、住宅ローンは残っていました。退職金を受け取ったとき、隆さんは一括返済も考えました。残債をすべて返してしまえば、毎月の住宅ローンはなくなります。ただ、800万円を一度に支払えば、手元の資金は大きく減ります。
「その後の生活を考えると、全部使ってしまうのは怖かったんです」
そこで一括返済は見送りました。
現在の年金は月16万円。これを食費や光熱費などの生活費に充て、住宅ローンについては、退職金とこれまでの貯蓄から支払う計画を立てました。
残りの返済期間は7年。利息を考慮しない単純計算でも、800万円を7年間で返すには月約9万5,000円が必要です。実際の返済額は金利によって変わります。
当初、隆さんはこの返済を特に問題だとは考えていませんでした。
貯蓄を取り崩しながらでも、毎月の返済はできていたからです。
国土交通省『令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書』によると、金融機関が融資審査で考慮する項目として「完済時年齢」を挙げた割合は98.4%に達しています。「借入時年齢」も96.2%と高く、健康状態(96.1%)や年収(94.2%)と並んで、ほぼすべての金融機関が審査の重要項目としています。具体的な完済時年齢の上限として「80歳未満」を設定している金融機関が約75%(回答978機関中732機関)と圧倒的多数を占めます。住宅ローンは「借りられるか」だけでなく、「何歳まで返す計画なのか」が審査・家計双方で決定的に重要な意味を持ちます。
隆さんも、77歳になればローンは終わる。それまでは貯蓄で返していけばいいと考えていました。ところが、少しずつ状況は変わっていきました。
デフレからインフレへ。食料品、電気代など、日々の支出が以前より増えていきます。一方で年金受取額は大して変わりません。生活への不安が一気に膨らみました。