世間で盛り上がる賃上げニュースの陰で、給与明細を見るたびに落胆するビジネスパーソンが絶えません。日々現場を支えるベテラン世代ほど「据え置き」の現実に直面するのはなぜなのか。最新データから浮かび上がる残酷な二極化の実態を見ていきます。
「俺の給料、いつ上がるんだ?」<48歳・中堅サラリーマン>、給与明細を開くたびに絶句する「2年連続賃上げゼロ」の残酷な現実 ※写真はイメージです/PIXTA

日本の職場を支える「40代・50代のベテラン社員」が直面する壁

「世間では過去最高水準の賃上げやベースアップと報じられている。それなのに、なぜ俺の給料は1円も上がらないのだろうか。もしかして、自分の評価が低いだけなのか……」

 

物価高が生活を直撃し、教育費や住宅ローンの重みがのしかかるなか、自分の給与明細をため息交じりに見つめているのは、東京都内の中堅企業で働く中本浩一さん(仮名・48歳)です。

 

メディアや政府が「賃上げ成功」をアピールするなか、厚生労働省が発表した『令和8年賃金改定状況調査』によると、前年と同じ会社で働き続けている継続雇用の「一般労働者(フルタイム労働者)」の平均賃金上昇率は3.3%(時給換算額で1,741円)を記録しています。一般労働者全体で見ても平均3.0%の伸びを示しており、データ上は確かに、日本中が潤っているかのように見えます。

 

しかし、この「平均3%超」という明るい数字を信じて給与明細を開いたビジネスパーソンを待ち受けていたのは、目を疑うような「据え置き」の現実です。実は今、日本の労働現場では、一部の「賃上げ勝ち組企業」の陰で、「2年連続で完全に賃上げをスルーされている」という二極化が広がっています。

 

まず、今回の調査から浮かび上がってきた、現在の日本の労働現場の実態を見てみましょう。

 

労働者の年齢階級を見ると、「40歳以上~50歳未満」が21.5%、「50歳以上~60歳未満」が24.6%となっており、働く人の実に46.1%が40代・50代の中高年ビジネスパーソンで占められています。さらに、全労働者の69.8%は「勤続3年以上」のベテランであり、現在の日本の企業活動は、これら中高年の経験豊富なベテラン社員たちの働きによって文字通り支えられているのです。

 

彼ら一般労働者の平均賃金は、1時間当たりに換算すると全国平均で1,731円(大都市圏のAランクで1,904円、地方のCランクで1,496円)です。汗水を流し、会社のために長年尽くしてきた48歳サラリーマンのようなベテラン社員こそが、本来であれば賃上げの最大の恩恵を受けるべき当事者です。

 

それほど貢献しているサラリーマンたちですが、世間の「平均3%増」の恩恵にあずかれている人はどれほどいるのでしょうか。

 

確かに、実際に基本給などの「賃上げ(賃金引上げ)」を行った事業所だけを見れば、その平均改定率は4.3%と非常に高い数字を記録しています。

 

しかし、ここに“統計の罠”があります。今年1~6月に、賃上げを実際に実施した事業所(企業)は全体の52.5%と、約半数にすぎません。一方で、今年1~6月に賃金改定を行わず、「7月以降も賃金改定を実施しない」と回答した、いわゆる「賃上げを凍結(据え置き)した」企業は25.2%に上ります。実に「4社に1社」が、ハナから賃上げという選択肢を完全に排除しているのが実態なのです。