(※写真はイメージです/PIXTA)
「あれ? また私だけ行かないんだ」
ユミさんは夫と、小学生の子ども2人との4人暮らしです。大学卒業後から仕事を続け、現在の年収は約800万円。勤務先では企画部門の中堅社員として、取引先との打ち合わせや新規プロジェクトにも携わっています。
産休・育休を経て復職してから数年。子どもが小さいころには時短勤務を利用していましたが、現在は通常勤務に戻っています。夫も会社員で、家事や育児はできる限り分担しています。両親に頼ることもありますが、夫婦で予定を調整しながら、これまで仕事を続けてきました。
そんなユミさんが、あることに気づいたのは半年ほど前でした。同じチームのメンバーが、地方の取引先へ出張する機会が増えていたのです。
「大阪に行ってきます」「来週は福岡です」
同僚たちのそんな会話を聞くたび、ユミさんは最初こそ気に留めていませんでした。しかし、プロジェクトの担当者を見ると、経験や役職が自分とほぼ同じ社員にも出張が割り振られています。それなのに、自分には一度も声がかかりません。
「たまたまかなと思っていたんです。でも、3回、4回と続くと、『あれ? 私だけ行かないんだ』って」
出張そのものが好きなわけではありません。ただ、現地で取引先と直接話したり、新しい案件の立ち上げに参加したりすることは、今後の仕事にもつながります。
ユミさんには、「行けない場合は断ればいい。でも、なぜ最初から候補にも入っていないのだろう」という疑問が残りました。
1on1で上司に聞いてみると…
ちょうどそのころ、直属の上司との1on1がありました。ユミさんは思い切って聞いてみることにしました。
「最近、出張ってほかの人にお願いしていますよね。何か私の仕事ぶりに問題がありますか?」
すると、上司は少し驚いた様子を見せました。
「いや、全然そういう意味じゃないよ」
理由を聞くと、上司から返ってきたのは意外な言葉でした。
「お子さんがいるから、泊まりの出張は大変かなと思って。できるだけ負担をかけないようにしていたんだけど……」
ユミさんは、そこで初めて事情を知りました。上司としては、ユミさんを冷遇するつもりなどありませんでした。むしろ、「家庭との両立が大変だろう」「急な泊まりの仕事を頼んだら困るかもしれない」と考え、自分なりに配慮していたというのです。
しかしユミさんは、「行けるかどうかは、そのときの予定によります。夫と調整できることもありますし、無理なら私から断ります。最初から『行けないだろう』と決めないでほしいです」と伝えました。出張に行けないことと、出張の候補から最初から外されることは違います。