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親のプライドとの向き合い方
それから約2カ月後。妹が間に入り、ようやく義雄さんと話ができた直樹さん。
義雄さんはぽつりと話し始めます。
「金がないことよりな……」
「お前に『払ってやる』と言われた瞬間、親として否定された気がした」
直樹さんは返す言葉を失います。自分は助けるつもりでした。父を見下したつもりなど、一度もありません。
それでも義雄さんには、「もう何もできない老人」と宣告されたように聞こえてしまったというのです。
とはいえ、預貯金が心許なく、雨漏りが直せないのは事実。過度な節約により、エアコンをつけていないのも事実です。直樹さんは、義雄さんが受け入れやすいよう、まずは伴走することにしました。
「雨漏りが心配だから、一緒に業者へ見積もりを頼まないか」
「暑いから僕も実家で過ごせない。新しいものを一緒に選ぼう」
また調べてみると、市には補助制度があり、実際よりも安く、屋根の修理、エアコンの買い替えができることを知りました。
「やっぱり、若い人のほうが情報を得るのが上手だな」と義雄さん。それからは、子どもから援助を受けるハードルが少し下がったといいます。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、「高齢者への経済的援助は、公的機関より家族が行うべきだ」とする考えへの賛成割合は20.6%と過去最低を記録しました。親を一方的な「支援対象」として扱うのではなく、対等な関係で選択を共にする「伴走」の姿勢こそが、親の尊厳を守りつつ必要な援助を届ける鍵となりそうです。