お盆の帰省シーズン。帰省を終えたばかりの35歳長女が実家の両親へ送ったのは、衝撃的な「絶縁LINE」でした。一体なぜ彼女は親との決別を選んだのでしょうか。ある女性の葛藤の事例をきっかけに、実家や義実家との付き合いで直面するモヤモヤや、家族と心地よい関係を保つための考え方について紐解きます。
「もう連絡してこないで!」実家帰省から戻った35歳長女、〈年金月28万円・60代両親〉に「絶縁LINE」を送った理由 ※写真はイメージです/PIXTA

家族関係を壊すのはお金ではない

しかし初日の夕食で、父が突然切り出します。

 

「拓也くん、まだ地方勤務の可能性あるんだって?」

「東京ならもっと稼げる会社はいくらでもあるのに」

 

拓也さんは苦笑いで答えました。

 

「今の仕事が好きなので」

 

その返事を聞いた父は鼻で笑います。

 

「好きで飯は食えないよ」

 

場が静まりかえりました。

 

翌日には母まで続きます。孫が義実家でもらった手作り玩具を見て、「そういう玩具はかわいそうね」と言い放った瞬間、拓也さんの表情が変わりました。

 

その夜、美咲さんはあまり眠れなかったといいます。怒りよりも、恥ずかしさが勝っていました。夫の家族は一度も自分たちを見下したことがありません。それなのに、自分の親だけが相手を値踏みし続けている――。

 

お盆明け、母からLINEが届きます。

 

「この前は空気が悪くなっちゃったね。また年末に帰ってきて」

 

その文章を見た瞬間、美咲さんは返信を書き始めました。

 

「もう限界です。これ以上、拓也や義父母を見下す話を聞きたくありません。お願いだから連絡してこないでください。今のままでは子どもも会わせられません」

 

送信ボタンを押すまでに30分かかり、その後、父からの着信が10回以上残されていました。母からも、「親を捨てるの?」というメッセージが届きます。

 

美咲さんは一度も返信していません。

 

「まだ私がクールダウンできていなくて……正直、親が変わってくれるまで連絡したくありません」と美咲さん。現在も距離を置いた状態が続いています。

 

国立社会保障・人口問題研究所『2022年社会保障・人口問題基本調査 生活と支え合いに関する調査』によると、等価可処分所得が最も低い層でも「相対的に生活満足度が高い(10点満点中6点以上)」と回答した割合は38.2%に上り、逆に最も高い所得層であっても約24.4%は満足度が高いとは評価していません。また、こころの健康状態が良好な人の割合も最高所得層で69.0%に留まっています。

 

美咲さんが夫との温かい生活を望み、裕福な実親と距離を置いたように、家族関係を支え合うために不可欠なのは資産の多寡ではなく、互いを尊重し値踏みしない精神的な絆のようです。