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非正規の50歳息子…親だから放っておけない
「スマホ代だけだから。月に1万円もしないし」
東京都郊外で暮らす佐々木久美子さん(75歳・仮名)は、そう自分に言い聞かせながら、毎月息子のスマホ代を支払っていました。
久美子さんの収入は、月13万円ほどの年金だけです。夫は8年前に他界。築42年の持ち家に、一人息子の直樹さん(50歳・仮名)と暮らしています。
直樹さんは大学を卒業して以来、ずっと非正規雇用として働き、現在の給与は月収で28万円、手取りは月22万円前後。家には毎月2万円だけ入れ、それ以外の生活費は「給料が少ないから」と母親に頼る生活が続いていました。
スマホ代は端末代込みで9,000円ほど。自宅のインターネット回線は月6,400円。電気・ガス・水道代は平均2万3,000円。食費もほぼ母親が負担していました。久美子さんは毎月13万円の年金に加え、夫が残した預貯金を少しずつ取り崩しながらやりくりしています。
「親なんだから、困っている子どもを放っておけないでしょう」
それが久美子さんの口癖でした。一方で、長女の佐々木美咲さん(38歳・仮名)は結婚して他県で暮らしています。夫婦共働きで、世帯年収は800万円ほど。小学生の子ども2人を育てながら、住宅ローン月9万5,000円を返済しています。
帰省のたびに生活費を渡そうとしても、久美子さんは「うちは大丈夫。直樹も頑張っているから」と断っていたといいます。そしてその言葉を、美咲さんは信じていました。
厚生労働省『2025(令和7)年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の平均所得金額は336.1万円であり、生活意識について52.1%(大変苦しい21.0%、やや苦しい31.1%)が「苦しい」と回答しています。久美子さんの年金収入(年約156万円)は平均を大きく下回るなか、非正規の未婚の子と同居し、生活を依存されることで家計が困窮するリスクは極めて高いといえるでしょう。
一方、美咲さんのような「児童のいる世帯」の平均所得は857.3万円ですが、実に61.5%(大変苦しい27.6%、やや苦しい33.9%)が「苦しい」と感じており、現役世代にも親を経済的・心理的に支援する余裕がない実態が窺えます。