首都圏を中心にマンション価格の高騰が加速するなか、かつて主流だった「35年ローン」を超える「50年住宅ローン」を取り扱う金融機関が増えています。事例から、50年ローンのリスクを考えてみましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。
「“50年ローン”で家を買ったよ!」→「82歳まで払う気か!」…世帯年収1,000万円・32歳次男の〈7,000万円のマンション〉返済計画に61歳父、呆然 (※写真はイメージです/PIXTA)

50年ローンのリスク

リュウジさんのリスクの捉え方を検証してみましょう。

 

「病気になっても働ける・社会保障がある」の甘さ

病気や障害の程度によっては、フルリモートであっても以前と同じパフォーマンスで稼ぎ続けることは困難です。また、傷病手当金は直近給与の約3分の2に減少します。

 

特にペアローンにおいて、どちらか一方が減収となった場合のインパクトは絶大です。住宅ローンを抱えた状態で収入が減れば、生活は一気に困窮するでしょう。さらに、妻の収入(350万円)を前提とした返済計画であれば、出産・育児や働き方の変化による妻側の減収リスクも常に付きまといます。社会保障も「最低限の生活」を支えるものであり、高額ローンの返済まで肩代わりしてくれるわけではありません。

 

「インフレ=不動産価格が上がるから安心」の誤解

インフレが進むということは、金利が上がることと表裏一体です。物件価格の上昇と同時にローンの適用金利も上がれば、変動金利で借りている場合、毎月の返済額や総支払利息は急増します。「資産価値が上がって得をする」というのは、売却して含み益を確定できて初めて成り立つのです。

 

また、空き家問題も深刻化するなか、少子高齢化による人口減少リスクを無視した都合のいいロジックだけに目を向けたリスク管理は危険でしょう。

 

82歳まで残る住宅ローン

32歳で50年ローンを組むと、完済は82歳です。体力的な衰えや、病気・怪我のリスクも高まるなか、いつまで全盛期と同等の住宅ローンを払い続けられる収入を保てるのか。老後の返済を見通した住宅ローンは、想像を超えた厳しさが伴うでしょう。

50年ローン返済中の対応

住宅価格が高騰する現代において、「50年ローン」は毎月の返済負担を抑え、若い世代がマイホームを手に入れるための選択肢として広がりを見せています。ローンを組んだあとも、徹底すべき点を確認しておきましょう。

 

◎手元の「生活防衛資金」の確保:金利上昇や一時的な減収に備え、手元の現金を安易に投資や浪費に回さず蓄えておく。

◎繰上げ返済の計画化:現役世代で稼げているうちに余剰資金を作り、定年までに返済期間を圧縮する。

◎定期的な資産価値のチェック:将来売却・買い替えを行う場合に備え、周辺の不動産相場や自宅の査定額を定期的に把握しておく。

 

50年という超長期の借金を背負ったからこそ、より厳格な資産管理が求められるのです。

 

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