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老後設計の誤算
佐々木さんのように、想定外の物価高で生活設計が崩壊するケースは後を絶ちません。 金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)2025年』によると、単身世帯の金融資産保有額(非保有含む)の中央値は、60代で300万円、70代で500万円にとどまります。
老後への不安も根強く、同調査で老後の生活について「心配である」と回答した割合は、60代で78.9%、70代で64.0%に達します。さらに、心配な理由として「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」を挙げた人は、60代で34.8%、70代では39.2%。年金収入がベースとなる高齢者にとって、食料品などの継続的な値上がりは家計を直撃します。節約しても資産の目減りを止められないという恐怖は、多くの高齢単身者が直面している深刻な現実なのです。
「年金が月15万円、預金も1000万円以上。これだけあれば、大丈夫だと思っていた」
「退職したころは、こんな値段になるなんて考えもしませんでした」
決して無計画であったわけではありません。できる範囲で老後に備えてきたつもりです。それでもこの物価高は想定外という高齢者が多いのです。
「贅沢なんて望んでいませんでした。普通に普通に暮らしたいだけなんです。しかし今は、その普通が難しい」
厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい(「大変苦しい」と、「やや苦しい」の合計)」と回答しています。老後資金を備えていても防ぎきれない物価高の波に対し、個人の節約限界を超えた社会全体での支援と抜本的な対策が今まさに求められています。