(※写真はイメージです/PIXTA)
高級老人ホームへの入居は「人生最後の贅沢」のはずだった
老後の住処をどうするか――。長年住んだ我が家をバリアフリー化するのか、それとも見切りをつけて介護施設へ移り住むのか。多くのシニア世代が直面する切実な問題です。
神奈川県在住の鈴木昭夫さん・美智子さん夫婦(いずれも仮名・75歳)も、そんな岐路に立たされていました。
二人はともに元中学校教師。夫婦合算の年金受給額は月額40万円ほどで、さらに現役時代からコツコツと貯めた預貯金と2人分の退職金により、金融資産は8,000万円近いゆとりがありました。
内閣府『高齢社会に関する意識調査』によると、高齢層が住み替えを考える一番の引き金は「健康・体力面への不安(24.8%)」です。次いで「今の家が住みづらく感じてきた(18.9%)」といった理由が続きます。
鈴木さん夫妻も、30代で手に入れたマイホームの将来的な使い勝手や、今後の医療・介護への不安を考慮し、最終的に「老人ホームへの入居」を選択しました。「子どもたちに家を残しても遺産分割で揉めるだけ。終活を兼ねて売却してしまおう」という昭夫さんの考えもあったといいます。
数ある施設のなかから二人が選んだのは、交通至便でありながら、豊かな自然に隣接する高級老人ホームでした。入居の一時金は2,000万円、さらに月額35万円の費用がかかります。毎月の年金だけでは賄いきれず貯蓄を崩すことになりますが、これまで質素倹約を心がけてきた夫婦にとって、「人生の最終章くらいは贅沢をしよう」という思い切った決断でした。
選んだ施設は、手入れされた中庭を望むラウンジにクラシック音楽が流れ、専属シェフによる絶品料理が楽しめる素晴らしい環境。大浴場やジムといった共用設備も申し分なく、広い自室から美しい庭を眺めながら、充実したセカンドライフが幕を開けたかに見えました。