結婚や子どもの誕生、あるいは家族の介護など、人生の中で「絶対に守りたいもの」ができたとき、それまでの仕事一辺倒だった働き方は途端に限界を迎えます。しかしそれは、あなたの能力ややる気が衰えたからではないかもしれません。本記事では、佐野創太氏の著書『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)より、同氏の実体験から持続可能な働き方について解説します。
「今頑張らないと社会から見捨てられる」20代を仕事一色で駆け抜けた会社員の焦燥。28歳での転機、それまでの“全力前提”が音を立てて崩れた日 (※写真はイメージです/PIXTA)

1500人以上のキャリア相談を通してたどり着いた「働き方」

私の抱えていた悩みは、決して自分だけのものではありませんでした。これまで、1500人以上のキャリアや転職の相談を担当してきて、多くの方が同じような迷いや悩みを抱えていることを実感しました。

 

「人生で大事にしたいことも増えてきた。でも、仕事も大切にしたい」

「この働き方を、この先も続けていけるだろうか」

「仕事中心の生活を送っていたら、趣味や好きだったことが思い出せなくなった」

「将来を明るく考えられない」

「若いころと同じようには働けない」

 

どれも、まじめに働いてきた人ほど抱えやすい悩みです。そして、仕事中心の生活を送ってきた人ほど、こう思うことに罪悪感を抱いたり、「自分が弱くなったのでは」と感じたりしてしまうかもしれません。

 

また印象的だったのは、誰も「怠けたい」とは言っていないことです。本音は、「もっとラクをしたい」「やめたい」でもなく、「このままの働き方で、続きますかね?」に集約されていました。これに気づいたとき、多くの人が無理なく、そして楽しく働き続けるために、「70%で働く」という考え方を求めていると思いました。

 

今の働き方や頑張り方に違和感を抱いたときは、自分に合った働き方を探し始めたサインです。これまで疑わなかった「全力前提」に、心が小さくブレーキをかけている。その違和感は、立ち止まりではなく、調整の始まりです。

 

仕事を大切にしながら、心身や大切なものも消耗させない。「70%で働く」は、そのバランスを取り戻すための具体的な方法です。

「70%で働く」は、手抜きでも、あきらめでもない

また、手を抜くことでも、あきらめることでもありません。いざというときのために、100%にギアを上げる余力は残しておく。でも普段は、無理なく、自分のリズムで働いている。その結果、「今日の感じなら、明日も行けそうだ」と感じられる。この「続けられる感覚」を意識的につくることです。

 

それは、単にマイナスをゼロに戻すことではありません。「今日も楽しかったな」と思える日が、静かに積み重なっていく感覚です。

 

3年後や5年後の未来は、正直わからない。年末に来年はどうなっているかさえ見通せないこともあります。でも、昨日も今日も悪くなかった。今週末にも、楽しみな予定がある。そんな日々が、無理なく続いていく。これが「70%で働く」というスタイルであり、働き方の技術です。

 

出典:『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)より抜粋
[図表]「70%で働く」で無理なく長く働ける 出典:『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)より抜粋

 

 

佐野 創太

「退職学(R)」研究家/メルマガ「キャリアの休憩室」編集長

 

 

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