「国の借金が過去最大を更新した」というニュースは、メディアで頻繁に報じられています。しかし、国家のバランスシートの反対側、すなわち国が保有する「資産」の全体像について語られる機会は驚くほど少ないのが現状です。政府が保有する財産の実態はいったいどうなっているのでしょうか。財務省がまとめた最新の国有財産データから、日本の知られざる「お財布事情」を読み解きます。
日本の「国有財産」は140兆円超!最大の資産は土地ではない「意外な正体」 (※写真はイメージです/PIXTA)

省庁別「資産保有額」ランキング

次に、霞が関に居並ぶ各省庁が、それぞれどの程度の資産を所管しているかを検証します。いわば省庁別の「資産保有額ランキング」です。

 

第1位:財務省(約104.4兆円/全体の74.3%)

圧倒的なトップに君臨しています。これほど突出している理由は至極明快で、前述した約106.6兆円の「政府出資等」の大部分を、財務省がまとめて所管しているためです。まさに「国の金庫番」としての面目躍如たる数字といえます。

 

第2位:防衛省(約8.6兆円/全体の6.1%)

防衛省は全国各地の自衛隊基地として広大な土地や建物を保有していることに加え、航空機や船舶(艦船)といった極めて高額な特殊装備を多数抱えています。有事を見据えた実力組織ならではの資産構成が、この金額を押し上げています。

 

第3位:農林水産省(約5.6兆円/全体の4.0%)

農水省の興味深い点は、金額ベースでは3位にとどまるものの、「土地の面積」という切り口で見ると群を抜いてトップであるという事実です。同省が所管する土地の面積は、約85億5,300万平方メートルにも及びます。これは、日本全国の山野に広がる「森林経営用財産(国有林など)」を抱えているためです。しかし、山林などは市街地の土地と比較して評価額が著しく低く設定されます。結果として、面積はとてつもなく広大であっても、台帳価格に換算すると約1.1兆円(1兆505億円)にとどまっています。「広さ」と「資産価値」は必ずしも比例しないという、不動産評価のリアルな事情が透けて見え、非常に示唆に富んでいます。

遊休資産の売却で財源を確保

このように国は膨大な資産を抱えていますが、ただ漫然と保有し続けているわけではありません。民間企業が資本効率を高めるために遊休資産の売却やオフバランス化を進めるように、国もまた不要となった資産の整理・売却を粛々と進めています。

 

現在、国がまったく利用していない「未利用国有地」は、令和6年度末時点で3,154件存在し、台帳価格にして約4,662億円にのぼります。国はこれらの未利用地を放置せず、最も高い値段をつけた事業者に売却する「一般競争入札」などを通じて、民間への払い下げを積極的に推進しています。

 

その結果、令和6年度における国有財産の売払収入は、合計で約2,886億円に達しました。利用価値の眠っている資産を民間へと移管し、現金化することで、逼迫する国家財政の重要な財源へと充てているのです。巨大で硬直的と思われがちな国家組織であっても、水面下では着実な資産管理と運用が行われていることがわかります。