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国有財産は140兆円の大台を突破
企業が貸借対照表(バランスシート)を作成して自社の財務状態を把握するように、国家もまた保有する財産をきっちりと帳簿にまとめ、毎年度公表しています。
財務省がまとめた『令和6年度(令和7年3月31日現在)国有財産増減及び現在額総計算書』によると、日本国の国有財産総額は、およそ140.5兆円(正確には140兆4,882億円)に達しています。日本の国家予算(一般会計総額)が110兆円台で推移していることを考えれば、これを優に超えるとてつもない規模の資産を国が抱えていることがわかります。
ここ数年間の推移を追ってみると、その規模は右肩上がりで拡大しています。令和2年度末の段階で約117.3兆円(117兆2,598億円)であった国有財産は、着実に増加を続け、令和6年度についに140兆円の大台を突破したのです。
資産の7割超を占める「政府出資等」
「国の財産」と聞けば、国会議事堂や霞が関にそびえる重厚な官公庁のビルディング、あるいは全国津々浦々に広がる広大な国有地を思い浮かべるのが一般的かもしれません。事実、国は膨大な土地を保有しており、その台帳価格は約21.3兆円(21兆2,811億円)にのぼります。
しかし、意外なことにこれは国有財産全体の15%程度を占めるに過ぎません。土地や建物といったハードアセットは、決して国の資産の主役ではないのです。
では、この約140.5兆円の大部分を占める正体とは何なのでしょうか。国有財産の中で最大のウェイトを占めているのは、実は「政府出資等」です。その額は実に約106.6兆円(106兆5,891億円)に達し、国有財産全体の75.9%を構成しています。
つまり、国の財産の4分の3以上は、法人への出資や有価証券といった金融資産です。国は政策的な目的から、金融機関や独立行政法人、国立大学法人、さらには国際機関などに対し多額の出資を行っています。
身近なところでは、日本銀行や日本電信電話株式会社(NTT)などの特殊会社への出資も該当します。「国=日本最大の地主」という牧歌的なイメージは、実態とは少々乖離しています。実際の国家とは、あちこちの組織に巨額の資金を投じている「巨大な投資家」であり、「メガ・スポンサー」としての側面を色濃く持っていると言えます。この事実を知るだけでも、国家という主体を見る目は大きく変わるはずです。